研究課題/領域番号 |
23591133
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安田 浩康 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (90396482)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 一酸化窒素供与剤 / がん細胞 / ペメトレキセド / RFC-1 / FPGS / 抗癌剤感受性増強効果 / 臨床試験 / ニトログリセリン |
研究概要 |
現在私が主任研究者として主導している3つの一酸化窒素供与剤併用化学療法に関する臨床試験は以下の通りである。(1) 未治療進行非小細胞肺癌患者におけるPaclitaxelとCarboplatinに対するニトログリセリン併用/非併用療法に関す多施設無作為化第II相比較臨床試験 (TRILC0702); (2) 3rdライン既治療非小細胞肺癌症例に対する塩酸アムルビシン・ニトログリセリン併用療法の第II相単群臨床試験 (KUOPLC0701); (3) 高齢者未治療病期第IIIB/IV期非小細胞肺癌症例に対するニトログリセリン・ドセタキセルの単群第II相臨床試験 (TUTRCDC003)。(2)の臨床試験に関しては目標症例数60例に対して59例が登録され、症例登録は終了した。(1)(3)は登録症例数が及ばず、試験を終了とした。2.基礎実験;GTNやNOC-18などのNO供与剤がゲムシタビン、ペメトレキセド、TS-1などの抗癌薬の抗腫瘍効果に対して影響を与えるのかについて癌細胞や動物モデルを用いて調べてきた。NOC-18はマウス肺腺癌細胞LLCにおいて、ペメトレキセドの殺細胞効果を有意に増強することを確かめた。また、NOC-18はLLC細胞においてペメトレキセド代謝に関与するreduced folate carrier 1(RFC-1)とfolylpolyglutamate synthase (FPGS)のmRNAと蛋白を増加することが判った。GTNはLLC移植動物モデルにおいてペメトレキセドの抗腫瘍効果を有意に増強することを確認した。さらに、NOC-18はLLC細胞内の可溶性グアニレートシクラーゼの活性化を介してRFC-1やFPGSの転写活性を増強し、蛋白を増加させて細胞内ペメトレキセド毒性を高めて抗腫瘍効果を増強していることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 未治療進行非小細胞肺癌患者におけるPaclitaxelとCarboplatinに対するニトログリセリン併用/非併用療法に関す多施設無作為化第II相比較臨床試験 (TRILC0702); (2) 3rdライン既治療非小細胞肺癌症例に対する塩酸アムルビシン・ニトログリセリン併用療法の第II相単群臨床試験 (KUOPLC0701); (3) 高齢者未治療病期第IIIB/IV期非小細胞肺癌症例に対するニトログリセリン・ドセタキセルの単群第II相臨床試験 (TUTRCDC003)。(2)の臨床試験に関しては目標症例数60例に対して59例が登録された。2.基礎実験;NO供与剤であるニトログリセリンやNOC-18が肺癌や悪性中皮腫の第一選択薬として使用されているペメトレキセドの抗腫瘍効果を有意に高めることを証明し、International Journal of Oncologyにアクセプトさせることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
臨床試験 (2) 3rdライン既治療非小細胞肺癌症例に対する塩酸アムルビシン・ニトログリセリン併用療法の第II相単群臨床試験 (KUOPLC0701)の追跡観察を進め、臨床試験の主要エンドポイントである無増悪生存期間を解析する。また臨床試験(1)(3)のデータ解析を行い、ニトログリセリンの抗腫瘍効果への影響を検討する。2.基礎実験;GTNやNOC-18などのNO供与剤がゲムシタビン、ペメトレキセド、TS-1などの抗癌薬の抗腫瘍効果に対する影響について癌細胞や動物モデルを用いて更に調べていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
臨床試験の実施、データ管理などに30万円動物実験の試薬代、動物飼育代などに50万円学会出張や発表経費に50万円と予定している
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