研究課題/領域番号 |
23591133
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安田 浩康 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (90396482)
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キーワード | 一酸化窒素 / 腫瘍循環 / 化学療法感受性 / アムルビシン / 低酸素誘導因子 / ゲムシタビン / 腫瘍縮小効果 |
研究概要 |
現在私が主任研究者として主導している3つの一酸化窒素供与剤併用化学療法に関する臨床試験は以下の通りである。(1) 未治療進行非小細胞肺癌患者におけるPaclitaxelとCarboplatinに対するニトログリセリン併用/非併用療法に関す多施設無作為化第II相比較臨床試験 (TRILC0702); (2) 3rdライン既治療非小細胞肺癌症例に対する塩酸アムルビシン・ニトログリセリン併用療法の第II相単群臨床試験 (KUOPLC0701); (3) 高齢者未治療病期第IIIB/IV期非小細胞肺癌症例に対するニトログリセリン・ドセタキセルの単群第II相臨床試験 (TUTRCDC003)。(2)の臨床試験に関しては目標症例数60例に対して59例が登録され、症例登録は終了した。(1)(3)は登録症例数が及ばず、試験を終了とした。現在、プロトコル治療後の追跡調査を行っており、データクリ―ニングとデータ固定、並びに統計解析を行っている。 基礎実験;GTNやNOC-18などのNO供与剤がゲムシタビン、ペメトレキセド、TS-1などの抗癌薬の抗腫瘍効果に対して影響を与えるのかについて癌細胞や動物モデルを用いて調べてきた。 NOC-18はマウス肺腺癌細胞LLCにおいて、ペメトレキセドの殺細胞効果を有意に増強することを確かめた。また、NOC-18はLLC細胞においてペメトレキセド代謝に関与するreduced folate carrier 1(RFC-1)とfolylpolyglutamate synthase (FPGS)のmRNAと蛋白を増加することが判った。 GTNはLLC移植動物モデルにおいてペメトレキセドとゲムシタビンの抗腫瘍効果を有意に増強することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多施設臨床試験の治療効果判定をRECISTで行っているが、画像データ入手が個人情報保護法に沿って行われているために手続きが煩雑であり進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床試験の血清解析データ確認と治療効果判定の確認を進めて行き、データ固定、統計解析、論文作成を進めて行く。
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次年度の研究費の使用計画 |
臨床試験:血清解析データ確認と治療効果判定の確認を進めて行き、データ固定、統計解析、論文作成を進めて行く。 臨床試験データ解析のための旅費、通信費、会議費で800,000円の予算を考えている。 動物実験:ゲムシタビン、ペメトレキセド、TS-1などまだGTNの腫瘍縮小効果増強作用を検討していない抗がん薬への効果や、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤やフォスファチジルイノシトール3リン酸代謝拮抗薬がGTNによる腫瘍組織内HIF-1α抑制作用や細胞内シグナル伝達を司るSrc活性が抑制されることを促進するにより、さらに効率よくGTNの抗腫瘍効果を高めることができないか動物実験を用いて検討する。 動物実験で500,000円の予算を考えている。 H24年度からH25年度に未使用金が発生しているが、参加を予定していた国際学会や国内学会への参加がスケジュール上不可能になったために学会参加旅費が計上されなかったことが原因である。
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