研究課題
肺癌細胞株を用いた定量RT-PCR解析では、EREG発現は殆どの小細胞癌で認めない一方、非小細胞肺癌(NSCLC)で高発現を認めた。特にEGFR、KRAS、BRAF変異群で高く、これらの細胞株では変異型KRAS siRNAによりEREG発現が抑制された。一方、各変異の有無に関わらず、EREG高発現NSCLCでMEKやERKの阻害剤によりEREG発現抑制された。EREG発現は、KRAS変異NSCLC群でKRASコピー数と、EGFR/KRAS/BRAF野生型NSCLC群でEGFRコピー数と各々正相関した。NSCLC切除検体(腺癌136、扁平上皮癌38)を用いた発現解析では、EREGは腺癌で高発現し、特に高齢者、男性、喫煙者、胸膜浸潤(PI)、リンパ管侵襲(LP)、血管侵襲(VI)、KRAS変異陽性群でEREG発現が高かった。EGFR変異群では、PI/LP/VI全て陰性群と比べて各因子いずれか陽性群でEREG発現が高かった。EGFRチロシンキナーゼ阻害薬治療歴のない腺癌119例では、EREG高発現群は術後無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)が有意に短く、KRAS変異やEREG発現状態での4群比較では、KRAS変異/EREG高発現群は、KRAS変異陰性/EREG低発現群よりDFSとOS共に有意に短かった。Cox比例ハザードモデルによる単変量解析では、喫煙歴、進行病期、PI陽性、LP陽性、VI陽性、KRAS変異陽性、EGFR変異陰性、EREG高発現がDFS予後不良因子、喫煙歴、進行病期、PI陽性、LP陽性、VI陽性、KRAS変異陽性、EREG高発現がOS予後不良因子であり、病期で調整した多変量解析では、EREG高発現はDFSとOSの予後不良因子であった。KRAS変異/EREG高発現肺腺癌細胞において、siRNAによるEREG発現抑制により細胞増殖抑制、アポトーシス誘導を認めた。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Oncogene
巻: 32 ページ: 4034-4042
10.1038/onc.2012.402.