研究課題
p116Rip proteinに対する特異的siRNAを用いた培養細胞でのgene silencingでのミオシンのリン酸化やcell motilityへの影響を検討した。肺由来のヒト繊維芽細胞(HFL-1)及び、ヒト気道上皮細胞(HBEC-3)の培養細胞のみならず肺癌細胞株であるA549を用いてp116Ripのタンパク発現の検討を特異的抗体を使用したウエスタンブロット法にて行った。さらにp116Ripに対する特異的siRNAを使用してHFL-1及び、HBEC-3細胞 内におけるp116Ripのgene silencingの検討を行った。いずれの細胞株においてもp116Ripが発現しており、かつp116Rip siRNAを用いる事によって特異的に効率よくp116Ripの蛋白発現がknock downされることが判明した。そして、p116Ripのgene silencingに伴い、ミ オシンのリン酸化が上昇している事もウェスタンブロット法により判明した。これらの現象は異なる細胞株を用いた既知の報告と一致していた。さらに、HFL-1におけるp116Ripのタンパク発現抑制によるcell migrationに与える影響につても検討を行った。PDGF-BBにて刺激したHFL-1細胞の遊走はp116Rip siRNA処理群において有意に細胞遊走が亢進していた。このことから、p116Ripが気道培養細胞においてミオシンのリン酸化に抑制的に作用し、その結果としてcell motilityにも抑制的に影響していることが明らかとなった。さらにp116Rip transgenic miceの作成を行いブレオマイシンによる急性肺障害モデルマウスに及ぼす、p116Rip proteinの急性肺障害への影響を検討しようと試みたが、p116Ripの発現レベルがmRNAレベルではtransgenic mouse群でわずかであったこともあり、今後さらにトランスジェニックマウス作成に当たり詳細な検討が必要と思われた。
すべて 2013
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Lung Cancer
巻: 82(1) ページ: 103-8
10.1016/j.lungcan
巻: 82(3) ページ: 449-54