研究課題/領域番号 |
23591140
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
宮崎 泰成 東京医科歯科大学, 保健管理センター, 教授 (30396999)
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研究分担者 |
杉田 隆 明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (10312076)
江石 義信 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70151959)
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キーワード | 過敏性肺炎 |
研究概要 |
「Respiratory Medicine」(Unoura K, Miyazaki Y, et al. Identification of fungal DNA in BALF from patients with home-related hypersensitivity pneumonitis. Respir Med 2011;105:1696-703.)に報告したように住居関連過敏性肺炎(home-related hypersensitivity pneumonitis: HRHP)患者の気管支肺胞洗浄液(BALF)よりDNAを抽出し、このDNAから真菌DNAが検出可能であることが分かった。これらの真菌DNAの多くは、HRHPの代表である夏型過敏性肺炎の原因真菌であるTrichosporon asahii (T. asahii)であったが、T. asahii以外にはCryptococcus uzbekistanesis、T. japonicum、F. napiformeも検出された。本年度はさらに多数の原因真菌候補を検出する為に明治薬科大学微生物学教室の杉田隆准教授と共同で真菌特異的なユニバーサルプライマーを作製し、PCRによりHRHP患者のBALFより抽出したDNAより真菌が検出できるか検討した。ほぼ全例において検出が可能であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過敏性肺炎は環境中の吸入物質が原因で起こるアレルギー性の間質性肺炎である。しかし、環境中に存在するありふれた有機物・無機物が原因であるため、原因抗原の特定はしばしば困難である。その結果、吸入抗原の同定がされずに診断されことが多く、本疾患の治療の基本である環境中からの原因抗原の排除は困難となり、疾患が進行する可能性がある。従って「原因抗原の同定」は診断治療の必須の項目であり、解決しなければならない喫緊の問題である。本邦では過敏性肺炎の原因は真菌がもっとも多く、自宅あるいは職場環境の真菌が原因で起こる「住居関連過敏性肺炎(HRHP)」はその一つである。そこで本研究ではHRHPの診断法を確立することを目的とし、3年間で以下の3つの項目を段階的に達成することを目標とした。 ➢ HRHPのBALF中の抗原真菌の同定法の確立 ➢ 同定された真菌の抗原蛋白およびエピトープの同定 ➢ 抗原部位に対する単クローン抗体を作製し環境中の抗原測定系を開発する。 本年度の研究では、HRHP患者の気管支肺胞洗浄液(BALF)から真菌DNAが検出可能で、さらに数種類の真菌を同定することが可能であったあることを証明した。この結果より本法がHRHPの診断ツールとして有用であることが分かった。従って最初の目標である「住居関連過敏性肺炎のBALF中の抗原真菌の同定法の確立」がほぼ達成できたと考えられる。さらに真菌特異的なユニバーサルプライマーが真菌全体のDNAを検出することが可能であることが分かったので、より多くの原因真菌の同定が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
「真菌特異的なユニバーサルプライマー」が有用であることが分かったので、今後は次世代シークエンサー (454 pyrosequencing)を利用し、網羅的真菌叢を検討し原因真菌を探索する。菌叢の比較はUniFrac distance metric法で解析し、Euclidean distance matrix法を用いてクラスター分析を行う。 上記検討の結果、HRHPの原因真菌が複数明らかになる。引き続き2番目の研究項目である「同定された真菌の抗原蛋白およびエピトープの同定」を当大学人体病理学分野江石義信教授の教室と共同研究で行う。具体的には原因真菌のレパートリーの各々の真菌のcDNAの発現ライブラリーを作製し、BALF中より真菌DNAが検出された過敏性肺炎患者の血清とBALF中の免疫グロブリンでスクリーニンングを行う。免疫学的陽性プラークの同定を行い、抗原蛋白を決定する。特異性が明らかになった蛋白については、エピトープを明らかにし、血清、気管支肺胞洗浄液における抗体価をELISAで測定すると共に、患者末梢血、入手できれば気管支肺胞洗浄細胞のリンパ球増殖反応を施行し,特異的な細胞性免疫反応の誘導能を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費は、研究発表のための旅費に使用する予定である。(研究代表者 宮崎泰成 20万円)
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