研究課題/領域番号 |
23591141
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
各務 博 新潟大学, 医歯学系, 講師 (30418686)
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研究分担者 |
中田 光 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (80207802)
土田 正則 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60293221)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 |
研究概要 |
これまでにマウスメラノーマであるB16の1%未満という極小数ではあるが、癌幹細胞マーカーの一つであるCD133を発現する腫瘍細胞が存在することを見出し、これを分離、純化することに成功した。このCD133陽性メラノーマはspheroid形成能、in vivo腫瘍形成能が高く、癌幹細胞としての形質を有していることを明らかとした。されにこのCD133陽性腫瘍はCD133陰性腫瘍に対して高免疫原性であり、この細胞でワクチンすることにより親株腫瘍に対する強い抗腫瘍効果を得られることが明らかとなった。この成果は、国際学会で発表した後、2011年にCancer Immunology Immunotherapyにpublishした。さらに、この高免疫原性を解明するためにCD133を表出しているメラノーマを分離、純化し、蛋白発現を網羅的に解析することでCD133陽性腫瘍に特異的に発現している4つの蛋白質を同定した。そのうちひとつであるDDX3Xがヒト非小細胞肺癌、大腸癌、乳癌、及び小細胞肺癌において発現されていることを明らかとした。特に、種々の癌細胞でのうちCD133を強く発現する癌細胞はDDX3Xを強発現していた。中でもCD133陽性小細胞肺癌は極めて強くDDX3Xを発現していることから、小細胞肺癌限局型患者において我々が過去に報告した末梢血中抗腫瘍エフェクターT細胞がこれを認識するか否か検討した。この結果、健常人、遠隔転移を持つ進展型では全く反応が見られなかったものの、限局型小細胞肺癌患者10名中4名からDDX3Xに対してIFNgを賛成するCD4 T細胞を認めた。一方、マウスモデルにおいてDDX3X特異的T細胞が抗腫瘍免疫効果を発揮するか検討した結果、DDX3X特異的T細胞は高い抗腫瘍効果を持つことが明らかとなった。現在、エピトープペプチドを解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DDX3X蛋白質を使用した抗腫瘍免疫効果をマウスモデルで証明するとともに、小細胞肺癌患者末梢血中にDDX3Xを認識するT細胞が存在することを証明できている。
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今後の研究の推進方策 |
DDX3Xを認識するヒトT細胞クローンを樹立し、CD4 T細胞、CD8 T細胞が認識するHLA classII, I拘束性ペプチドを明らかとする。DDX3Xの癌幹細胞化における役割を明らかとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.小細胞肺癌を中心とした癌患者末梢血におけるDDX3X特異的T細胞の存在と予後の関連についての前向き研究を進める2.DDX3Xを認識するヒトT細胞クローン樹立と合成DDX3Xペプチドを用いて、T細胞エピトープを解明する3.DDX3X knock down、over expressionの細胞系を用いてDDX3Xと癌幹細胞化との関連を明らかとする以上の研究を進めるために、DDX3X cDNA導入ベクター、DDX3X knockdown shRNAベクター、各種抗体、ELISA試薬、培養試薬購入やペプチド合成などの目的に次年度の研究費を使用する予定である。
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