研究課題/領域番号 |
23591142
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
藤村 政樹 金沢大学, 医学系, 准教授 (90190066)
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研究分担者 |
小川 晴彦 金沢大学, 医学系, 研究員 (70401908)
片山 伸幸 金沢大学, 医学系, 助教 (30334767)
大倉 徳幸 金沢大学, 大学病院, 助教 (80397215)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 咳喘息 / 気管支平滑筋 / 慢性咳嗽 / 難治性 / 咳嗽反応 |
研究概要 |
1.臨床的検討咳喘息患者、アトピー咳嗽患者、典型的喘息患者および正常者を対象として、メサコリン吸入誘発時の気管支平滑筋収縮と誘発咳嗽の関連を検討し、「咳喘息の咳嗽は気管支平滑筋収縮がトリガーとなって発生するが、この気管支平滑筋収縮によって刺激される求心性知覚神経終末(感覚器)の反応性の亢進が重要な病態である」の仮設を導きだした。さらに現在までに咳喘息患者6名を対象として、治療によって咳嗽が軽快した時の本反応性を再評価した結果、本反応が正常化することが明らかになりつつあり、さらに症例数を増やして確認する。また、気管支平滑筋トーヌスに対する深吸気の影響を検証できるpartial and maximum flow-volume curveを呼吸機能検査として用いて気管支平滑筋収縮に対する防御機能と誘発咳嗽反応の関係を検討中であるが、正常者では機関紙平滑筋収縮に対する病後反応と誘発咳嗽には正の有意な相関関係がみられた。すなわち、平滑筋収縮を解除しようとする機能が強いほど、咳嗽が誘発され易いことが示唆された。2.基礎的検討:メサコリン吸入誘発気管支平滑筋収縮による咳嗽発生の機序詳細な病態解明の一部は臨床研究には限界があり、また実施不可能な検討課題もあるため、動物実験に用いた検討を開始した。無麻酔正常モルモットに2倍希釈系列のメサコリン溶液を低濃度より順次吸入負荷し、気道抵抗と誘発咳嗽数を測定し、両測定値の一次回帰直線の傾きを求めて平滑筋収縮に対する咳嗽反応性の指標(cough responsiveness to bronchoconstriction:CRB)とするモデルを作成した。本モデルを用いて、平滑筋収縮に対する咳嗽反応性の増強因子の検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床的検討研究対象として適格な症例を蓄積して検討を進めているが、ほぼ予定通りの進捗状況である。基礎的検討モデルの作成と実験手技の習熟に時間を要したために進捗状況は遅れているが、最近は順調になりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
1.臨床的検討症例の蓄積が必要であり、下記1)、2)の平成23年度開始の研究課題を継続する。1)咳喘息患者における気管支平滑筋収縮による咳嗽の過剰反応の推移、2)気管支平滑筋収縮による咳嗽の過剰反応に対する寄与因子。誘発喀痰上清中の候補物質の濃度を測定して、平滑筋収縮に対する咳嗽反応性との関連を解析する。(1)6-ketoプロスタグランジンF1α、(2)サブスタンスP(3)システニィル・ロイコトリエン(4)ブラディキニン(5)ヒスタミン。2.基礎的検討アレルギー性気道炎症が、平滑筋収縮に対する咳嗽反応性にどのような影響を及ぼすかについて明らかにする。モルモットを卵白アルブミンによって能動感作し、卵白アルブミンの吸入負荷によってアレルギー性気道炎症を惹起する。卵白アルブミン吸入負荷の72時間後(咳感受性が正常で気道過敏性が亢進している状態、Liu Q, Fujimura M, et al. Clin Exp Allergy 31: 474-84, 2001)に、メサコリン誘発平滑筋収縮に対する咳嗽反応性を評価する。これまでの研究によって、本反応が減弱していることを明らかにしているので、抑制因子の検索を行う。本研究によって、咳喘息の抑制因子の候補が浮かび上がり、その誘導体が将来の新しい治療薬となる可能性がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度は基礎的研究の準備と習熟に手間取り、研究費の執行が計画よりも少額となった。年度末には実験体制も整ったため、繰越金は24年度の予算に加えて有効に使用する。とくに基礎的研究の動物購入代、飼育費、試薬代に使用する。成績発表と意見交換のための学会出張費と論文作成のための英文添削費用と投稿料は、当初の予算に従って使用する。
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