研究課題/領域番号 |
23591142
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
藤村 政樹 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (90190066)
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研究分担者 |
小川 晴彦 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (70401908)
片山 伸幸 金沢大学, 附属病院, 講師 (30334767)
大倉 徳幸 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (80397215)
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キーワード | 咳喘息 / 気管支平滑筋 / 慢性咳嗽 / 難治性 / 咳嗽反応 |
研究概要 |
1.臨床的検討 咳喘息患者、アトピー咳嗽患者、気管支喘息患者および正常者を対象として、メサコリン吸入によって誘発した気管支平滑筋収縮時の誘発咳嗽反応を検討し、「咳喘息の咳嗽は気管支平滑筋収縮がトリガーとなって発生するが、この気管支平滑筋収縮によって刺激される求心性知覚神経終末の反応性の亢進が本疾患の重要な基本病態である」ことが明らかとなりつつあり、さらに症例を蓄積して確認中である。気管支平滑筋の易収縮性(気道過敏性亢進)と本咳嗽反応には全く相関がなく、気道過敏性亢進は咳喘息の病態と無関係であることが明らかとなった。 野山に繁茂するきのこの胞子(basidiomycetous (BM) fungi担子菌)が、アレルギー性呼吸器疾患に関わりの深い環境真菌であることが明らかになった。特に、慢性咳嗽と関連の深い環境真菌としてヤケイロタケ(Bjerkandera adusta)の重要性が明らかになりつつある。 2.基礎的検討 無麻酔モルモットに倍々希釈系列のメサコリン溶液を吸入負荷して気管支収縮反応を惹起し、この時に誘発される咳嗽が「気管支平滑筋収縮に対する咳嗽反応」の動物モデルであることを確認した。本モデルを用いて寄与因子の検討を進めている。 抗線維化薬であるピルフェニドンが、モルモットのアトピー咳嗽モデルの咳感受性を抑制することを明らかにした。これは、乾性咳嗽が特発性肺線維症の部分症状であるという既成概念に疑問符を投げかける成績である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床的検討:研究対象として適格な症例を蓄積して検討を進めているが、ほぼ予定通りの進捗状況である。 基礎的検討:モデルを作成し、実験手技にも習熟できたので、研究成果が出つつある。
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今後の研究の推進方策 |
1.臨床的検討 症例をさらに蓄積し、本反応を測定することによる臨床的意義を明らかにする。すなわち、1)難治性咳嗽との関係、2)咳喘息の病態的診断における重要性、3)継時的変化、4)喘息発症との関連、などについて検討を進める。 2.基礎的検討 メサコリン吸入による気管支平滑筋収縮時の咳嗽反応の修飾因子を探索する。1)本咳嗽反応と気管支肺胞洗浄液中プロスタノイドの関係、2)プロスタノイド投与による本反応の変化、3)プロスタノイド阻害薬による本反応の変化、について検討を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度は、日程の調整がつかなかったことから予定していた国際学会への参加ができなかったこと、研究に費やす時間が予定よりも少なかったこと、などのため未使用額が生じた。H24年度より繰り越した研究経費は、論文の投稿料・掲載料、学会出張費、動物・試薬の購入費として使用する。 基礎的研究の動物購入代、飼育費、試薬代に使用する。 また成績の発表と意見交換のための学会出張費に使用する。 さらに、論文作成のための英文添削費用と投稿料にも使用する。
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