研究課題/領域番号 |
23591145
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 光夫 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70467281)
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研究分担者 |
近藤 征史 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00378077)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | EMT / 肺癌 / EGFR / p53 / KRAS |
研究概要 |
本研究の目的は、応募者が開発した正常気管支上皮細胞発がんモデル(HBEC)を用い、ヒトの肺癌で高頻度にみられる遺伝子異常が上皮間葉細胞転換(EMT)誘因に直接寄与しているという仮説を検証することである。EMTは、癌の浸潤能・転移能・幹細胞能の獲得に寄与している。EMTの誘導因子としては、TGF-bなどの外的因子があるが、肺癌の多段階発癌過程において獲得されるp53異常などの遺伝子異常(内的因子)のEMTへの寄与については不明である。さらに、EMTが誘導されたHBEC細胞に対して網羅的遺伝子・マイクロRNA発現解析により、肺癌の治療標的となりうる分子を探索し、RNA干渉実験によりその治療応用性を検討する。平成23年度はHBEC細胞のTGF-bに対する反応を検討した。さらに、癌遺伝子導入下おけるTGF-bの反応性についても検討した。HBEC細胞の増殖はTGF-bによって抑制された。変異型KRAS, 腫瘍抑制遺伝子p53変異を単独または組み合わせて導入したHBEC細胞のTGF-b反応も検討した。それらの細胞においてはTGF-bに対する増殖抑制が減弱していたが、明らかなEMTは認められなかった。また、他の細胞モデルにおいてEMTへの関与が報告されているCAVの導入もおこなったが、HBEC細胞のEMTは観察されなかった。EGFR変異細胞、EGFR野生型肺癌細胞株を用いてEGF, TGF-bによるEMT誘導を行ったところ癌細胞は細胞種依存的に、EGF, TGF-bに反応しEMTが観察された。今後は、導入遺伝子の追加や異なる種類のHBEC細胞を用いる事によって肺癌EMTモデル確立を目指していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的達成のためには、正常気管支上皮細胞発がんモデル(HBEC)を用いたEMTモデルの作成が必要である。平成23年度はTGF-b、EGF、およびヒト肺癌において高頻度に認められる遺伝子変異を組合せることによってそれを達成する事を試みた。HBEC細胞のTGF-bに対する反応を検討した。TGF-bによってHBECの増殖は抑制されたが明らかなEMTは誘導されなかった。さらに、癌遺伝子導入下おけるTGF-bの反応性についても検討した。HBEC細胞の増殖はTGF-bによって抑制された。変異型KRAS, 腫瘍抑制遺伝子p53変異を単独または組み合わせて導入したHBEC細胞のTGF-b反応も検討した。それらの細胞においてはTGF-bに対する増殖抑制が減弱していたが、明らかなEMTは認められなかった。HBEC細胞を用いたモデルは未だ確立していないが、モデル確立のための基礎的データは得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのところHBEC のEMTモデルの確立には成功してないが、肺癌細胞株を用いてEMTを誘導することには成功している。今後は、導入遺伝子の追加や異なる種類のHBEC細胞を用いる事によってモデル確立を目指していく。モデルの確立が達成できた場合は、当初の予定通り、EMTが誘導されたHBEC細胞に対して網羅的遺伝子・マイクロRNA発現解析により、肺癌の治療標的となりうる分子を探索し、RNA干渉実験によりその治療応用性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
各種細胞の培養メディウム、遺伝子導入関連試薬、TGF-bなど実験試薬の購入、肺癌、正常気管支上皮細胞株の購入などに使用を予定する。また、EMTが誘導されたHBEC細胞に対して行う網羅的遺伝子・マイクロRNA発現受託解析にも使用する予定である。
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