研究課題/領域番号 |
23591151
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
関 雅文 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (80432970)
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研究分担者 |
朝野 和典 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40202204)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | iインフルエンザ / 肺炎 / NHCAP / NETs / 好中球 / 乳酸菌 |
研究概要 |
本研究は、インフルエンザウイルス感染症および関連する細菌性肺炎において、個体側の因子=免疫因子が過剰に反応していることで、かえって組織障害を促進し、肺炎の重症化に寄与している可能性を考察し、さらに臨床的に治療および感染予防・重症化対策へフィードバックすることを大きな目標としている。 今年度は、まずアポトーシスの肺炎重症化への関与を確認することにあった。我々は、インフルエンザウイルスに肺炎球菌を重複感染させた重症肺炎マウスモデルの解析を進め、重複感染モデル肺においては、気道上皮細胞および肺胞マクロファージの強いアポトーシスが惹起され、これらはインフルエンザウイルスもしくは肺炎球菌の単独感染マウス肺炎に比較して、きわめて早期に観察されることを見出した (Kosai K, Seki M et al. JJID 2011)。この時間的相違は、アポトーシス関連酵素:Caspase-3やCasapase-8の活性化の時間的相違とも相関した。また、炎症性サイトカインの誘導とも関連するアポトーシス関連分子:FADDの発現が、これらの重複感染モデルでは、気道上皮細胞でかえって減弱するなど興味深い現象を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
基礎実験の進展とも並行して、臨床面では、新たな肺炎群とされる「医療・介護関連肺炎(NHCAP)」のガイドラインが発刊され、委員として参加した。この中で、インフルエンザ肺炎と関連する2次性細菌性肺炎が、誤嚥性肺炎と共に取り上げられ、ワクチンなどの予防の重要性も挙げられたから。 また、並行して行った乳酸菌製剤(b240)による肺炎球菌性肺炎の重症化抑制効果に関するマウスを用いた実験系でも、炎症性サイトカインを中心とした炎症の抑制が見出され (Tanaka K, Seki M et al. App. Let. Microbial 2011)、症例データでも、特に高齢者でのこれらの肺炎予防の重要性が明らかとなった(Seki M et al. JIC 2011)となったから。
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今後の研究の推進方策 |
好中球を中心とする免疫系の過剰な活性化、NETs (Neutrophil Exracellur Traps)などの解析を順次、検討する予定である。 これらは症例の臨床的解析とともに、ヒトからの検体、マウスや細胞を用いた基礎的実験系においても検討を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
症例検討のための臨床研究を立ち上げるとともに、実験のためのマウスや抗体などの購入を進める予定である。 また、学会発表や論文執筆を進め、海外研究者とも積極的に交流し、情報交換を行う予定とする。
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