• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

G蛋白質共役受容体アレイを用いた新規肺癌標的分子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 23591155
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

横内 浩  福島県立医科大学, 医学部, 助教 (60399946)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード国際情報交流 / 米国
研究概要

【具体的内容】肺癌にて手術を行った患者120名より肺癌組織および隣接する正常組織におけるGPCRの発現レベルを比較検討した。その結果、癌細胞表面で高発現かつ正常組織で低発現もしくは発現しないGPCRが3分子、癌細胞で発現が全く認められず、正常組織で高発現しているGPCR下流の細胞質内アダプター分子1分子を同定した(分子名は現段階で公表できず)。該当する患者組織検体に対し、同定された分子の一次抗体を入手し、実際に発現状況を薄切切片の免疫染色にて確認したところ、癌細胞で高発現とされた3分子が免疫染色でも強く染色されていた。またアダプター分子では、アレイの結果同様、癌細胞には全く発現が認められず、周囲間質細胞での発現が認められた。今後in vitroの系で同分子の機能解析を図るためアレイにて高発現が確認されたA431 (外陰部扁平上皮癌)、HL60(前骨髄性白血病)、RD(横紋筋肉腫)を用いて該当分子の発現をreal-time PCRにて確認した。【意義】正常組織と比較して肺癌にて高い発現を示す、もしくは発現の全くみられないGPCR、GPCR関連分子を同定することができた。【重要性】今後、同定された分子の詳細な機能解析が必要であるが、腫瘍増殖・アポトーシスなどとの関連を見出すことができれば、将来的な治療標的となりうる。関連がない場合においても、該当分子の免疫染色をより多数の肺癌症例にて行うことにより、その発現状況と臨床データを照らし合わせることで、患者の予後予測あるいはある種の抗がん剤治療に対する反応を予知するバイオマーカーとなりうると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

検討した肺癌患者数が120例と多数となったため解析に時間がかかったが、明確に正常組織と異なる発現を示す肺癌特異的GPCR及びその関連分子を4分子も同定することができた。この結果を免疫染色にて確認することができたため、今後の研究の進展度に期待できる。

今後の研究の推進方策

同定された腫瘍に高発現のGPCRはオーファン受容体ではなく、アゴニスト、アンタゴニストが入手可能である。それらのcompoundを同定分子を高発現する細胞株にin vitroの系で使用し、cAMPの上昇の有無、アポトーシスあるいは細胞増殖の程度をELISA assayにて確認する。期待されるアポトーシス誘導もしくは抑制結果が出た場合、関連シグナル伝達経路をcAMP下流のPKA、Epac、PI3K/Aktの特異的agonistないしinhibitorを用いたELISAの系やWestern Blottingにて確認する。 一方で同定されたGPCR分子がアポトーシス関連分子ではなかった場合、より多くの肺癌患者組織検体に免疫染色を施行し、臨床データと照らし合わせて、同定されたGPCR分子発現との関連性(予後予測マーカーあるいは抗がん剤感受性マーカー)を統計的に検討する。

次年度の研究費の使用計画

次年度も学会出張費、旅費などには使用せず、研究試薬など物品費に集中使用して、研究を迅速に進める努力を行う。GPCRアゴニスト・アンタゴニストに20万円、アポトーシスELISA kitに14万円、cAMP ELISA kitに20万円、シグナル伝達経路解析のためのinhibitor (GGTI: Rap-1 inhibitor, LY294002: PI3K inhibitor, U73122: PLC inhibitor)などの試薬に20万円の使用を予定している。またWestern blotting用試薬、細胞培養試薬(培地、トリプシン、ピペットなど)に15万円の合計89万円の使用を予定している。

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi