研究課題/領域番号 |
23591156
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
小栗 鉄也 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60363925)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ABCC11 / Pemetrexed / 遺伝子多型 / Thymidylate synthase |
研究概要 |
SNP538の異なる3種類のABCC11強制発現細胞株(G/G、G/A、A/Aモデル)の樹立に関しては、前立腺cDNAを鋳型としてヒトABCC11遺伝子 (538G)を作成、それを鋳型にABCC11遺伝子(538A)も作成した。これをベクターpcDNA3.1/V5-His、pDNA6.0/myc-Hisへそれぞれ組み込み、うちpcDNA3.1/V5-HisをHeLaへtransfectionし、ABCC11(538G)とABCC11(538A)を強制発現した細胞株を樹立した。これら2つのABCC11遺伝子強制発現細胞株HeLa-538G(V5)とHeLa-538A(V5)および親株において、pemetrexed(MTA)に対するIC50を測定したところ、HeLa-538G(V5)は親株と比較して約28倍の耐性を有し、HeLa-538A(V5)は親株と比べ変化はなかった。現在、もう一方のベクターpDNA6.0/myc-Hisのtransfectionを試み、ABCC11遺伝子の538G/G、G/A、A/Aの擬似的発現株を樹立を目指す。 MTA感受性規定因子検討の中で、我々は肺癌細胞株を用いてthymidylate synthase (TS)の遺伝子増幅を調べたところ、TSの遺伝子増幅とMTA感受性の間に負の相関関係を認め、2012年度の米国癌学会で発表を行った。 さらに以前樹立したMTA耐性肺癌細胞株においてcytotoxic nucleoside analoguesであるgemcitabine (GEM)や cytosine arabinoside (Ara-C)の感受性が親株に比べ、高いことを見いだした。このメカニズムについて検討を行い、MTA併用療法の臨床的なあらたな併用療法につながるものとして、学術雑誌Oncology Lettersに投稿、掲載予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SNP538の異なる3種類のABCC11強制発現細胞株(G/G、G/A、A/Aモデル)の樹立に関して順調に行われている。また、肺癌臨床検体からのDNA抽出によるTS、ABCC11のcopy numberや肺癌組織検体の免疫染色によるTS、ABCC11の発現量と奏効率、PFSなどの治療効果との関連性を調べる目的で、現在IIIB+IV期または術後再発の非扁平上皮患者の血液サンプル、肺癌理組織検体の採取を行っているが、こちらも順調に症例を蓄積している。
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今後の研究の推進方策 |
ABCC11遺伝子の538G/G、G/A、A/Aの擬似的発現株の樹立を行い、ABCC11遺伝子多型とMTA感受性との関連についての基礎的検討をおこなう。IIIB+IV期または術後再発の非扁平上皮患者の血液サンプル、肺癌理組織検体の症例蓄積をさらに行い、MTA感受性規定因子としのTS遺伝子増幅の臨床的な意義を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主には実験の消耗品に使用するが、学会発表の旅費や論文投稿料にも一部使用予定である。
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