研究課題
前立腺cDNAを鋳型としてヒトABCC11遺伝子 (538G)を作成、それを鋳型にABCC11遺伝子(538A)も作成した。これをベクターpcDNA3.1/V5-His、pDNA6.0/myc-Hisへそれぞれ組み込み、うちpcDNA3.1/V5-HisをHeLaへtransfectionし、ABCC11(538G)とABCC11(538A)を強制発現した細胞株を樹立した。これら2つのABCC11遺伝子強制発現細胞株HeLa-538G(V5)とHeLa-538A(V5)および親株において、pemetrexedに対するIC50を測定したところ、HeLa-538G(V5)は親株と比較して約28倍の耐性を有していたのに対し、HeLa-538A(V5)は親株と比し耐性に変化は明らかでなかった。さらにmethotrexate(MTX)に対しても、HeLa-538G(V5)は親株と比較して約8倍の耐性を有していたに対し、HeLa-538A(V5)は親株と比し耐性に変化は明らかでなかった。FPIA法によりMTXの細胞内濃度を測定したところ、HeLa-538G(V5)細胞株は、親株やHeLa-538A(V5)と比較し、MTX暴露2時間後の細胞内濃度は明らかに低下していた。以上の結果から、ABCC11遺伝子多型により、葉酸代謝拮抗薬の癌細胞内濃度低下による効果の違いが生じる可能性が示された。現在非小細胞非扁平上皮癌患者に対して一次治療としてプラチナ製剤+pemetrexedの併用療法で治療された症例での効果発現とABCC11遺伝子多型との関連について症例を蓄積し検討中である。
すべて 2013
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Anticancer Research
巻: 33 ページ: 1935-1940