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2012 年度 実施状況報告書

LPS惹起肺水腫におけるHGFによる回復機構

研究課題

研究課題/領域番号 23591157
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

岩崎 吉伸  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00203373)

研究分担者 丸中 良典  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00127036)
新里 直美  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00237645)
有本 太一郎  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30457965)
上田 幹雄  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40457966)
キーワードHGF / アポトーシス / LPS
研究概要

これまで、マウス摘出肺を用いたLPS惹起肺障害における肺胞上皮細胞のHGFの遺伝子発現・蛋白発現のいずれも惹起されること、また、抗IL-1β抗体、抗TNF抗体により、これらの発現が抑制されることを確認した。さらに、 マウス肺から血管内皮細胞を分離培養し、HGFの添加によりアクチン細胞骨格の破壊が抑制されることが確認できた。マウス肺の気管支肺胞洗浄液中のマクロファージを単離し、LPS添加6時間後に上清中のIL-1β、TNF-αをELISAで測定したところ、LPSによりIL-1β、TNF-αが誘導されることから、これらの炎症性サイトカインが病態の発症に重要であることがわかった。これらのデータをもとに、次にHGFを阻害することによる肺胞上皮アポトーシス・肺血管透過性に及ぼす影響、肺水腫に及ぼす影響を検討した。
1) 組織学的検討:LPS投与後の摘出肺をTUNEL染色したところ、肺胞上皮細胞の一部にアポトーシスを来していることが確認され、抗HGF抗体によりアポトーシスが増強し、HGFによりアポトーシスが抑制された。
2) アポトーシス:LPS惹起肺障害において、Bax、Bcl-2、p21、p53をRT-PCR法にて測定したところ、Baxの亢進がみられ、本機序を介するアポトーシスの誘導が示唆された。また、HGFによりBcl-2が抑制された。
3) 肺血管透過性:気管支肺胞洗浄液中の131Iで標識したアルブミンは、抗HGF抗体により増加した。このことから、抗HGF抗体は血管透過性を増強させることが考えられた。
4) TLRシグナリングアッセイ:マウス肺からII型肺胞上皮細胞を分離培養し、LPS添加後に、さらに抗CD14抗体を添加し、蛍光酵素遺伝子に結合したNFkB反応領域(IL-8プロモータ)を用いてシグナリングを測定したが、変化はみられなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実験手技が熟練してきたため、測定時のバラツキが少なくなり、安定した実験結果が得られるようになってきている。また、研究を分担している研究者が、定期的に実験結果を持ち寄り、それぞれの結果を検討することで研究者に共通の認識が生まれると同時に問題点も明らかになることも多く、そのため実験手技の修正等についても速やかであり、比較的順調に実験が進んでいるように思われる。
具体的には、上田(分担者)により、組織学的検討が行なわれ、組織学的にアポトーシスとHGFの関係が解明されてきている。また、有本(分担者)により、Bax、Bcl-2、p21、p53がRT-PCR法により測定された。岩﨑(代表者)により、実験モデルを用い、気管支肺胞洗浄中のアルブミンの透過性をみることで血管透過性の評価が行われているが、動物モデルの作成、気管支肺胞洗浄、放射性同位元素を用いたアルブミンの測定のそれぞれが、良好な連係により行なわれている。また、それぞれの実験結果の整合性につき、カンファレンスで検討している。このように、実験の分担者と代表者が良好な協調関係にあるため、実験が順調に進行している。

今後の研究の推進方策

LPS投与により、HGF遺伝子・蛋白発現にどのような影響を及ぼすのか、また、HGFがLPS惹起肺水腫に対し、どのような影響を及ぼすのかを解明するために、LPS投与後に抗IL-1β、抗TNF-α抗体を投与し、組織学的に検討すしてきた。すなわ、LPSによって引き起こされる肺胞上皮のアポトーシスに対し、HGFが抑制的に働くかどうか検討する。Bax、Bcl-2、p21、p53をRT-PCR法にて測定し、Baxを介したアポトーシスかどうか検討する。さらに、 肺血管透過性が、抗HGF抗体により増強されるかどうかを検討する。マウス肺からII型肺胞上皮細胞を分離培養し、LPS添加後に、さらに抗CD14抗体を添加し、蛍光酵素遺伝子に結合したNFkB反応領域(IL-8プロモータ)を用いてシグナリングを測定し、機能的影響を検討する。マウス肺の気管支肺胞洗浄を行ない、洗浄液中のマクロファージを単離し、LPS添加直後に抗CD14抗体、抗TLR4抗体を添加し、抗CD14抗体、抗TLR4抗体のHGF産生に及ぼす影響を検討する。

次年度の研究費の使用計画

肺胞上皮を培養し、LPS添加後に、さらに抗CD14抗体を添加し、蛍光酵素遺伝子に結合したNFkB反応領域(IL-8プロモータ)を用いてシグナリングを測定し、機能的影響を検証する。マウス肺の気管支肺胞洗浄を行ない、洗浄液中のマクロファージを単離し、LPS添加直後に抗CD14抗体、抗TLR4抗体を添加し、抗CD14抗体、抗TLR4抗体のHGF産生に及ぼす影響を検討する。
これまでの実験結果の整理と検討を行う。

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公開日: 2014-07-24  

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