研究課題
本研究の目的は、肺胞蛋白症の高分解能CT所見をdensitometryによる肺野濃度測定での客観的検討である。densitometryは読影者の主観的評価ではなく客観的に数値化できるため、肺胞蛋白症でのdensitometryによる肺野濃度測定の臨床的応用を明確にしたい。平成23年度はdensitometryによる肺野濃度の最適測定条件を検討するため、肺胞蛋白症3例(軽症、中等症、重症)を検討した。東芝メディカルシステムズAquilion 64を用いて管電圧120kvp、管電流(Auto mA制御SD12) 0.5s/rot、スライス厚1mm、再構成間隔0.8mm、再構成関数FC13にて解析画像処理し、画像解析するにはAZE社のvirtual place雷電Plusを応用した。平成24年度は肺胞蛋白症でのdensitometryによる肺野濃度測定値が、肺胞内腔の変化を反映しているかを検証した。数種類のスポンジを肺モデルのPhantomとし、生理食塩液などを流し込み肺野濃度の測定を試みた。しかし肺胞蛋白症と同程度の肺野濃度となるモデル作成はできなかった。平成25年度は継時的評価が可能であった5例の肺胞蛋白症について臨床的意義を検討した。最適な評価範囲としたCT値-1121 HUから-250 HUまでのdensitometryを測定し設定し、この評価範囲で5例(改善傾向1例、不変2例、悪化2例)の臨床経過と対比した。注目すべきはCT値-750 HU付近の変動が臨床経過に関与しており、悪化例ではこのレベルでdensitometry curveが上方に偏移していることである。肺容積の平均値も悪化例では増加傾向を示していた。肺胞蛋白症の活動性指標とされている血清KL-6値、SP-D値、CEA値、LDH値とdensitometryでの肺容積平均値との間には有意な相関関係は示されなかった。従来肺胞蛋白症の病状変化は胸部CTの肺野所見を読影することで評価されてきたが、読影者間による客観性は不十分である。しかし本研究結果は、densitometry測定が肺胞蛋白症の病状を客観的評価できる手段となることを示唆している。
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