研究課題/領域番号 |
23591161
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
十合 晋作 順天堂大学, 医学部, 助教 (80365634)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 非小細胞肺癌 / 癌微小環境 / 癌関連線維芽細胞 |
研究概要 |
非小細胞肺癌の手術症例より、手術肺検体から、同一肺葉内において、非癌部(C: Control)、およびCAF群として癌と正常組織の境界部(B: Border)、癌部(T: tumor)、より、それぞれ組織を切り出し肺線維芽細胞の分離培養を行う。尚、腫瘍部位に隣接する境界部も含め非癌部以外の肺線維芽細胞をCAFと定義した。上記3群間で生理機能解析の比較検討を行った。非癌部の肺線維芽細胞と比較して境界部及び癌部Fの肺線維芽胞の生理活性機能を特に肺線維芽細胞の遊走能(1)3次元collagen gelcontraction assay法(2) 増殖能(3)に着目し以下の結果を得た。1. chemotaxis assay :CAFの遊走がより亢進し、その程度が臨床病期を反映している可能性を示した。2.TypeI collagen Gel assay:コラーゲンゲルでの3次元培養環境下では、CAFは、より著明にゲルの収縮を促進した。A549細胞との共培養下では、CAFは、Control群と比較してさらにゲルの収縮を促進した。CAFは、a-SMAの発現量がより増加しており、コラーゲンゲル内のCAFにおいても、Control群と比較してa-SMAの発現量がより増加していた。また、A549細胞との共培養下では、CAFは、さらにa-SMAの発現量が増強した。3.CAFが肺癌上皮細胞の遊走およびEMTを刺激する事をCAFの培養上清液を用いて証明した。考察:非小細胞肺癌間質内の癌関連線維芽細胞は、a-SMA陽性の筋線維芽細胞を多く含む活性化した線維芽細胞で構成されていた。癌関連線維芽細胞は、癌細胞との連携のもと、癌進展において重要な役割を担うことが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
呼吸器外科チームとの連携もスムーズであり患者サンプルは20例と十分に得られており将来の更なる解析のために用いるサンプルストックの保存も順調に行われている。CAFの生理機能解析の結果では統計学的にも有意な差が得られており、今後のメカニズムの解析をすすめる上でも有利な実験結果となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画と予測される成果としては、肺線維芽細胞の遊走能、Type I collagenゲルの収縮能、増殖能のメカニズムの解明に加え、癌細胞との相互作用の機序、CAFを介する抗癌剤感受性や耐性機所の解明その他の様々な生理機能解析へも展開していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
CAFから産生される様々な制御因子、またCAFの関与するシグナル、RNA,蛋白発現の網羅的解析を健常部位の線維芽細胞との比較で外部委託での測定を検討している。
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