研究課題/領域番号 |
23591161
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
十合 晋作 順天堂大学, 医学部, 助教 (80365634)
|
キーワード | 非小細胞肺癌 / 癌関連線維芽細胞 / EMT |
研究概要 |
非小細胞肺癌手術肺組織(n=6)の正常肺組織(Control)及び癌部位(CAF)より肺線維芽細胞の分離培養を行った。肺線維芽細胞を用いた3次元Type Iコラーゲンゲルマトリックス法によりコラーゲンゲルの収縮の程度を測定した。また、非小細胞肺癌上皮系細胞株(A549)との共培養下においてもコラーゲンゲルの収縮の程度を測定した。a-SMAなどのの発現量をWestern-Blotting法で測定した。 コラーゲンゲルでの3次元培養環境下では、CAFは、より著明にゲルの収縮を促進した。[Control; 71.1 ± 13.0%, CAF; 51.7 ± 17.0 %: p<0.05]。 A549細胞との共培養下では、CAFは、Control群と比較してさらにゲルの収縮を促進した[p<0.01]。 CAFは、a-SMAの発現量がより増加しており、コラーゲンゲル内のCAFにおいても、Control群と比較してa-SMAの発現量がより増加していた。また、A549細胞との共培養下では、CAFは、さらにa-SMAの発現量が増強した[p<0.05]。CAFとの共培養系でA549がEMTを誘導されたことを確認したが癌幹細胞のマーカーの発現は認めなかった。 非小細胞肺癌間質内の癌関連線維芽細胞は、a-SMA陽性の筋線維芽細胞を多く含む活性化した線維芽細胞で構成されていた。肺癌細胞との共存下では、より活性化された筋線維芽細胞となり癌の進展に重要な役割を担っていると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は癌細胞とCAFとの相互作用を主に着目して解析を進めている。CAFは癌細胞の遊走、EMTを誘導し多面的な作用を通して癌進展、抗癌剤耐性化を誘導していることを確認した。また癌細胞もCAFの分化を促進し活性化を誘導しており癌細胞と癌間質のCAFは密接に関連していることを確認した。また解析症例も 増えており一定の現象の確認を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
CAFの網羅的な遺伝子解析をCAGE法を用いて解析し、CAF特異的な分子、制御因子の同定を行う。標的因子の遺伝子発現制御を強制発現ベクターやKnock downなどの系を用い機能解析を行う。また患者背景主に臨床情報とCAFの生理機能解析(遊走、コラーゲンゲル解析)の相関を検討しCAFからの臨床的バイオマーカーの検討を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
CAFの網羅的な遺伝子解析をCAGE法を用いて解析し、CAF特異的な分子、制御因子の同定を行う。標的因子の遺伝子発現制御を強制発現ベクターやKnock downの作成に用いる費用およびSiRNA、抗体などの購入に主に使用する予定である。またCAFの産生する制御因子を蛋白レベル、転写レベルで検討する。
|