研究課題
肺線維症病態におけるオートファジーと小胞体ストレス応答が制御する細胞運命が検討課題である。特発性肺線維症の肺組織を用いた検討により、肺線維症進展にオートファジー機能が不十分であること。また培養細胞を用いた検討から、気道上皮細胞を用いて、小胞体ストレスを亢進させたときに誘導される細胞老化に対してオートファジーが抑制的に作用することを明らかにした。さらに線維芽細胞用いた検討から、オートファジーの阻害は、α-SMA とtype I collagenの 発現の亢進にみる筋線維芽細胞への分化を促進し、逆にmTOR阻害剤であるTorin1によるオートファジー亢進はTGF-βによる筋線維芽細胞化の誘導を抑制した。つまり、オートファジーの低下は上皮細胞に対しては細胞老化を、また線維芽細胞に対しては筋線維芽細胞分化を誘導し、肺線維症の進展に関与する可能性が、昨年度までの検討結果から明らかとなった。本年度は、昨年度までの結果の検証を行いながら、オートファジー阻害、特にミトコンドリア特異的なオートファジーであるマイトファジーに注目をして、さらに検討を行った。傷害ミトコンドリアのマイトファジーによる分解処理過程では、PINK1-Parkin系が重要な役割を果たしている。PINK1とParkinをそれぞれノックダウンすると、細胞内の特にミトコンドリア由来のreactive oxygen species (ROS)が増加し、筋線維芽細胞が誘導されることが明らかとなった。またplatelet-derived growth factor (PDGF)受容体のリン酸化による、phosphatidylinositol-3 kinase (PI3K)-Aktシグナル伝達系の活性化がROSの増加による筋線維芽細胞への分化に重要であることが明らかとなった。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
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