研究課題/領域番号 |
23591163
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
吾妻 安良太 日本医科大学, 医学部, 教授 (10184194)
|
研究分担者 |
神尾 孝一郎 日本医科大学, 医学部, 助教 (20465305)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | fibrocyte |
研究概要 |
特発性肺線維症は呼吸器難病であり、進行性の線維化病態に骨髄前駆細胞(fibrocyte)が関わる可能性が示唆されている。本研究では実験的線維化病態におけるfibrocyte の関わりを解明することにより、線維化の細胞資源を解明し、同時に、新規治療薬pirfenidone 治療導入後のfibrocyte の推移、phenotype の変化を検証することを目的としている。 本年度はC57BL/6マウスに対するブレオマイシンの投与経路の検討から開始した。経気管、経静脈、osmotic pumpを用いた投与方法を検討したが、簡便性や再現性の良さなどからosmotic pumpによる投与を選択した。 次にfibrocyteの観察時期の検討を行った。fibrocyteのマーカーであるCD45とcollagen Iを用いて二重染色を行い、fibrocyteを観察した。ブレオマイシン投与14日目、21日目の両方で、fibrocyteが確認された。 FACSに関しては14日目を選択した。細胞内のcollagen Iの検出が困難であったが、抗体の細胞内への透過を良くするためにBDのcytofix/cytopermを用い、biotin/streptoavidinの系で検出することが可能となった。 ブレオマイシンへのpirfenidoneの併用では、マウスへの負担も観察されたが、最終的にブレオマイシン 100mg/kg、pirfenidone 300mg/kg/day×14日でマウスへの負荷も十分認容性のあることが確認された。まだpreliminaryな段階ではあるが、ブレオマイシン投与で増加したfibrocyteがpirfenidoneにより抑制されることが観察されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度はマウスへのブレオマイシンの投与経路の決定、fibrocyteの検出をまず目標に掲げて研究を開始した。fibrocyteの検出に工夫を要したが、最終的にこの検出は可能となった。 またブレオマイシンにpirfenidoneの併用で、fibrocyteが抑制されることが、preliminaryなデータではあるが、確認された。 pirfenidoneのみではなく、NACやPC-SODの使用も計画したが、これらの薬剤の使用にまでは至らなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
fibrocyteの肺への遊走に、CXCL12などのケモカインが関与していることが報告されている。今後の研究として、pirfenidoneがこれらのケモカインを抑制し得るかを検討する。 マウス治療実験研究を通してfiborcyte の制御が肺線維症進展抑制の鍵を握る可能性が示唆されることが予想されるが、施設内倫理委員会における審査を経て、IPF患者の末梢血中のfibrocyte について検討する。さらに治療薬の効果とfibrocyte の推移を検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
ケモカインの測定にELISAキットが必要である。また患者検体の解析のための費用も必要となる。
|