研究課題
特発性肺線維症は呼吸器難病であり、進行性の線維化病態に骨髄前駆細胞(fibrocyte)が関わる可能性が示唆されている。本研究では実験的線維化病態におけるfibrocyteの関わりを解明することにより線維化の細胞資源を解明し、同時に新規抗線維化薬ピルフェニドン(PFD)導入後のfibrocyteの推移、phenotypeの変化を検証することを目的としている。昨年度までの検討では、C57BL/6マウスにブレオマイシン(BLM) 100mg/kgをosmotic pumpを用いて投与し、これと同時にPFDを14日間投与するprophylactic modelを作成した。肺内のfibrocyteをCD45とcollagen Iに対する抗体で二重染色し、FACSにて解析した所、PFDの投与により肺へのfibrocyteの集積が抑制された。これは免疫染色でも定量的に確認された。Fibrocyteの遊走に関わるケモカイン類の検討ではBLMの投与により増加する肺内のCCL2はPFDにより有意に抑制された。またCCL2の免疫染色ではBLM投与により、肺胞上皮細胞・肺胞マクロファージ・細気管支上皮に発現の亢進が見られたが、これらはPFDにより抑制された。昨年度までの検討ではCCL12に対する効果は明らかでは無かったが、再検を繰り返した結果、PFDはCCL12も有意に抑制することが明らかとなった。本年度はBLM投与後、10日目から20日目までPFDを投与するtherapeutic modelに対するPFDの効果を検討した。同モデルにおいても、fibrocyteの集積抑制が確認された。更にfibrocyteの遊走能の評価をBoyden chamberを用いて行った。BLMを投与したマウス肺組織よりmesenchymal cellを培養、magnetic beadsを用いてCD45陽性細胞を抽出し、CCL2に対する遊走能を評価した。CCL2に対する遊走細胞の増加は、PFD投与により抑制された。Fibrocyte上のCCL2に対するレセプターであるCCR2のPFDによる抑制も関与していると考えられた。骨髄由来fibrocyteに対する抑制効果はPFDの抗線維化作用の一つであると考えられた。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Respiratory Research
巻: 15巻
10.1186/1465-9921-15-16