研究課題/領域番号 |
23591165
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
長内 和弘 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70221158)
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研究分担者 |
井口 晶晴 金沢医科大学, 医学部, 講師 (60350758)
小林 誠 金沢医科大学, 医学部, 助教 (20460355)
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キーワード | 肺サーファクタント / 細胞内輸送 / 間質性肺炎 |
研究概要 |
ヘルマンスキー・パドラック症候群モデルラットでの肺病変および肺サーファクタント輸送・分泌を解析した。 Rab38低分子量Gタンパク質を欠損し眼皮膚型白皮症と出血傾向を有するヘルマンスキー・パドラック症候群のモデルラットとして当初Fawn-hoodedラットの使用を予定していたが、より肺病変の強いLong Evans Cinnamon(LEC)ラットを使用した。同ラット肺には肺気腫様病変が起きていた。電顕で肺胞上皮細胞を観察したところII型上皮細胞は大型化し、著明に大型化した層状封入体を含有していた。気管支肺胞洗浄法にて気管支・肺胞内の炎症細胞を定量的に評価したところ、軽度の出血と好中球の増加、脂質の貪食により大型化した胞体を有する肺胞マクロファージがみられた。肺組織ホモジネート内、スクロース密度勾配超遠心法により単離した層状封入体(LB)小器官分画、および気管支肺胞洗浄液による肺胞内の肺サーファクタント量を測定したところ、肺サーファクタント脂質成分のフォスファチジルコリンは組織および層状封入体分画で著明に増加していたが、肺胞分画での増加はみられなかった。同様に疎水性肺サーファクタントタンパク質SP-Bも同じ傾向を示した。しかし親水性肺サーファクタントであるSP-AとSP-Dには明らかな変化はみられなかった。単離培養した肺胞II型上皮細胞からのフォスファチジルコリンの分泌活性をみたところ、無刺激状態での分泌は低下していたが、各種アゴニストによる分泌刺激では著明な分泌活性を示した。 以上よりRab38の欠失により肺サーファクタントのII型細胞内での輸送・分泌に異常が起き、肺気腫様病変が引き起こされることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヘルマンスキー・パドラック症候群モデルラットでRab38低分子量タンパク質の欠失により肺胞II型上皮細胞での肺サーファクタントの輸送・分泌異常が起きていることを発見したが、予想に反して間質性肺炎ではなく肺気腫病変が起きていた。この原因は今のところ不明である。
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今後の研究の推進方策 |
Rab38低分子量タンパク質欠失による肺サーファクタント輸送・分泌異常から間質性肺炎ではなく肺気腫病変が起きる機序の解明を進める。また肺サーファクタントタンパク質SP-Cの輸送異常から間質性肺炎が発症することの機序も同時に進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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