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2013 年度 実績報告書

肺サーファクタント輸送異常による間質性肺炎の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 23591165
研究機関金沢医科大学

研究代表者

長内 和弘  金沢医科大学, 医学部, 教授 (70221158)

研究分担者 井口 晶晴  金沢医科大学, 医学部, 講師 (60350758)
小林 誠  金沢医科大学, 医学部, 助教 (20460355)
キーワード肺サーファクタント / 間質性肺炎 / ヘルマンスキーパドラック症候群 / 肺胞II型上皮細胞 / 細胞内輸送 / Rab38低分子量Gタンパク質
研究概要

間質性肺炎を発症する遺伝性疾患であるヘルマンスキーパドラック症候群(HPS)のモデルラットでの肺病変および肺サーファクタント(LS)輸送・分泌を解析した。Rab38低分子量Gタンパク質を欠損し眼皮膚型白皮症と出血傾向を有するHPSのモデルラットとしてLong Evans Cinnamon(LEC)ラットを使用した。同ラット肺には間質性肺炎ではなく肺気腫様病変が起きていた。II型上皮細胞は大型化し、胞体内に著明に大型化した層状封入体を含有していた。気管支・肺胞内には、軽度の出血と好中球の増加、脂質の貪食により大型化した胞体を有する肺胞マクロファージがみられた。LS脂質成分のフォスファチジルコリン(PC)は組織および層状封入体分画で著明に増加していたが、肺胞腔内での増加はみられなかった。同様に疎水性LSタンパク質SP-Bも同じ傾向を示した。親水性LSであるSP-AとSP-Dには明らかな変化はみられなかった。単離培養したII型細胞からのPCの分泌活性をみたところ、無刺激状態での分泌は低下していたが、各種アゴニストによる分泌刺激では著明な分泌活性を示した。アデノベクターにRab38-cDNAを組み込み、初代培養II型肺胞上皮細胞およびLECラット肺へ経気道的に肺に感染させた。培養II型上皮細胞からの分泌活性は野生型ラットに近づくように改善された。またin vivoで経気道感染させた肺でのPCやSP-Bの含有量にも野生型へ近づくような改善がみられた。以上よりRab38の欠失によりLSのII型細胞内での輸送・分泌に異常が起き、予想に反し間質性肺炎ではなく肺気腫様病変が引き起こされることが明らかにされた。他文献からの知見と合わせ考察すると、ヒトHPSでの間質性肺炎には1stヒットである遺伝子異常に加え、2ndヒットである呼吸器感染、加齢、粉じん吸入などの要因が関わっていると推測された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] A three-microphone acoustic reflection technique using transmitted acoustic waves in the airway2013

    • 著者名/発表者名
      Fujimoto Y, Huang J, Fukunaga T, Kato R, Higashino M, Shinomiya S, Kitadate S, Takahara Y, Yamaya A, Saito M, Kobayashi M, Kojima K, Oikawa T, Nakagawa K, Tsuchihara K, Iguchi M, Takahashi M, Mizuno S, Osanai K, Toga H.
    • 雑誌名

      J Appl Physiol

      巻: 115 ページ: 1119-1125

    • DOI

      10.1152/japplphysiol.00326.2013

    • 査読あり
  • [雑誌論文] アデノベクターによるラット肺へのリソフォスファチジルコリンアシル転移酵素1(LPCAT1)遺伝子デリバリーはオレイン酸肺水腫を抑制する2013

    • 著者名/発表者名
      周敏、長内和弘、北楯祥子、四宮祥平、東野茉莉、山谷敦代、高原豊、齋藤雅俊、小林誠、及川卓、中川研、土原一真、水野史郎、黄正寿、栂博久
    • 雑誌名

      分子呼吸器病学

      巻: 17 ページ: 143-145

  • [雑誌論文] 市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌による肺化膿症の1例2013

    • 著者名/発表者名
      齋藤雅俊、及川卓、中川研、水野史郎、長内和弘、栂博久
    • 雑誌名

      日本呼吸器学会誌

      巻: 2 ページ: 205-209

  • [雑誌論文] シタフロキサシン長期投与が有効であった多剤耐性ノカルジア膿胸の1例2013

    • 著者名/発表者名
      及川卓、加藤諒、中川研、水野史郎、長内和弘、栂博久
    • 雑誌名

      日本呼吸器学会誌

      巻: 2 ページ: 424-428

  • [学会発表] Exogenous expression of lysophosphatidylcholine acyltransferase 1 ameliorates oleic acid-induced lung injury in rats

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro Osanai
    • 学会等名
      第53回日本呼吸器学会学術講演会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム(東京都千代田区)

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公開日: 2015-05-28  

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