研究課題/領域番号 |
23591169
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
岡 三喜男 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40223995)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 肺癌 / 癌精巣抗原 / 癌ワクチン / ペプチドワクチン / 癌免疫療法 / 臨床試験 / 免疫モニタリング / 免疫調節薬 |
研究概要 |
癌精巣抗原XAGE-1bに対する免疫応答:非小細胞肺癌患者200例中20例(10%)に抗XAGE-1b血清抗体を検出した。その内、進行肺腺癌69例中13例(19%)に抗体を検出した。抗XAGE-1b血清抗体陽性患者において、CD4T細胞特異的XAGE-1b免疫反応は16例中14例(87.5%)、CD8T細胞特異的XAGE-1b免疫反応は9例中6例に検出され、癌精巣抗原XAGE-1bは肺癌患者において強い免疫原性を有することを明らかにした。 XAGE-1bに特異的に反応するT細胞クローンの樹立と認識ペプチドの同定:抗XAGE-1b血清抗体陽性患者からXAGE-1bを特異的に認識するT細胞クローンを樹立した。このT細胞を用いて、81個のアミノ酸からなるXAGE-1bを数個のアミノ酸に切断して、認識するアミノ酸配列を決定した。その認識部位は、CD4細胞では18-31番、CD8細胞では21-29番目のアミノ酸であった。 XAGE-1b特異的T細胞の細胞障害活性:樹立したT細胞クローンを用いて、XAGE-1b発現腫瘍細胞に対して細胞障害試験を行った。その結果、この特異的T細胞は腫瘍細胞を殺傷することを確認した。 【結果のまとめ】非小細胞肺癌患者は癌精巣抗原XAGE-1bを高率に発現し、この抗原に対し強い免疫反応を示し、かつ特異的T細胞はXAGE-1bを発現する腫瘍細胞を殺すことを明らかにした。 【現在、進行中の成果】共同研究者のオランダ、ライデン大学のMelief CJ教授らのグループは、我々の結果に基づいて世界初のXAGE-1bペプチドワクチンを製造した。現在、毒性試験をしてオランダ政府の認可を待っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標(1)肺癌患者から樹立したXAGE-1b特異的CD4 T細胞、CD8 T細胞が認識するXAGE-1bアミノ酸領域を最終決定する → すでに完了し、国際誌に投稿し印刷中である。目標(2)XAGE-1b長鎖ペプチドワクチンを特許合成する → すでに共同研究者のオランダLeiden大学;Melief CJ.教授らのグループは、世界初のXAGE-1bペプチドワクチンを製造した。現在、オランダ政府の認可待ちである。目標(3)世界初のXAGE-1b長鎖合成ペプチドワクチンによる臨床試験 → すでに肺腺癌を対象とした臨床試験のプロトコールは完成している → 今年、秋から当大学、ライデン大学(オランダ)、スローン・ケタリング癌センター(米国)で臨床試験が開始される予定である。
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今後の研究の推進方策 |
これまで極めて順調に計画は進行している。 我々の研究成果に基づいて、すでに共同研究者のオランダLeiden大学;Melief CJ.教授らのグループは、世界初のXAGE-1b長鎖合成ペプチドワクチンの製造を完了し、オランダかつ米国政府の認可待ちである。認可を待って今年の秋をめどに、完成した肺腺癌を対象とした臨床試験のプロトコールを土台に、当大学、ライデン大学(オランダ)、スローン・ケタリング癌センター(米国)で臨床試験を開始する。(1)世界初のXAGE-1b長鎖合成ペプチドワクチンによる肺腺癌を対象とした臨床試験の開始 (2)ペプチドワクチン接種による免疫モニタリングと効果判定
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)世界初のXAGE-1b長鎖合成ペプチドワクチンによる臨床試験に付随する、肺癌患者の免疫モニタリングへの消耗品(2)世界初のXAGE-1b長鎖合成ペプチドワクチンによる治療成果の論文および国際学会への発表に関わる論文投稿料と旅費【次年度使用額について】理由:年度末に高額の消耗品購入の予定であったが、費用不足のため次年度に繰り越した。予定:この次年度使用額と24年度請求額を合わせて、上述の高額消耗品購入に使用する予定である。
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