研究課題
【背景:これまでの本研究の成果から】がん精巣抗原のXAGE-1bは、進行期の肺腺癌の約40%に発現している。さらにXAGE-1bを発現している肺腺癌患者の約50%には、XAGE-1bに対する血清抗体が検出される。これら血清抗体を有する肺癌患者では、XAGE-1bに対しCD4およびCD8-T細胞の免疫応答が高頻度にみられる。【今回の研究の対象と方法】進行期の肺腺癌患者145例を対象として、腫瘍組織でのEGFR遺伝子変異とXAGE-1b抗原の有無、XAGE-1b血清抗体の測定を行った。CD4-およびCD8-T細胞の免疫応答は、XAGE-1b抗原で刺激した後、サイトカインおよび免疫制御細胞の網羅的な解析を行った。最終的にこれら免疫反応と生命予後を検証するため、XAGE-1b血清抗体と予後、XAGE-1b血清抗体とEGFR遺伝子変異を絡めた予後の解析を多変量解析を用いて行った。【結果】EGFR遺伝子変異の有無に関わらず、XAGE-1b血清抗体陽性の肺腺癌は、抗体陰性例に比べて有意に全生存率が良かった。多変量解析ではXAGE-1b抗原陽性者の中でも、XAGE-1b血清抗体は強い予後予測因子であった。一方、XAGE-1b抗原はEGFR遺伝子変異陽性肺癌の予後悪化因子であった。最終的に多変量解析の結果、Performance StatusとXAGE-1b抗体価が独立した予後因子であった。T細胞の解析では、XAGE-1b血清抗体陽性例ではT細胞の活性化が観察された。【結語】肺腺癌でのXAGE-1b発現とXAGE-1b血清抗体は、肺腺癌の生命予後を予測する因子である。この結果、XAGE-1bを標的にした肺腺癌の免疫療法が期待される。
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