研究実績の概要 |
細胞膜上に発現するペプチドトランスポーターPEPTsは生体内のペプチドやペプチド製剤の輸送に関与する蛋白である。その幅広い基質認識性と高い親和性ゆえに薬剤送達の標的分子として注目されている。近年PEPT2が多くの腫瘍細胞株に発現・機能していることが確認されているが、肺癌組織におけるPEPTsの発現・機能について検討した報告はない。本研究では肺癌組織におけるPEPT2の発現・機能について分子生物学的解析を行い臨床データとの相関について検討する。 これまで肺癌患者29人(男19名:女10名 68.9歳 腺癌21名 扁平上皮癌8名)より肺癌組織および正常気管支組織を採取した。 1.肺癌組織および正常気管支におけるPEPT2の基質である蛍光ペプチドD-Ala-Lys-AMCAを作成し、取り込み実験を行った。基質取り込みの程度を定性的に3段階評価した.腺癌に比べ扁平上皮癌で取り込みが強い傾向(p=0.09)を認めたが有意差はなかった. 2.肺癌組織および正常気管支におけるPEPT2の蛍光免疫染色を行った。癌細胞表面および正常気管支上皮に染色を確認した。 3.リアルタイムPCRによる検討では, 腺癌と比べ扁平上皮癌においてPEPT2のmRNAレベルの発現が有意に強いことが確認された(p=0.038)
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