研究課題
常染色体優性遺伝性肝嚢胞の原因遺伝子であるSec63の疾患モデルマウスであるSec63lox/lox: ksp-creマウスは腎嚢胞を形成する。このマウスにおいて常染色体優性遺伝性嚢胞腎(ADPKD)の原因遺伝子であるpkd1の容量により嚢胞形成の程度が変化するかを解析するためにSec63lox/lox: ksp-creマウスとPkd1lox/loxマウスを交配しSec63lox/loxPkd1lox/lox:ksp-cre、Sec63lox/loxPkd1lox/+:ksp-cre、Sec63lox/loxPkd1+/+:ksp-cre、Sec63lox/+Pkd1lox/lox:ksp-cre、マウスを作成した。両者ともノックアウトされているSec63lox/loxPkd1lox/lox:ksp-creが最も腎嚢胞の程度が激しく、嚢胞形成はPkd1の濃度依存性である事が明らかになった。ADPKDでは通常嚢胞が激しくなると腎臓は腫大するが、Sec63lox/loxPkd1lox/lox:ksp-creマウスは嚢胞が激しいにも関わらず腎重量体重比は小さく、腎臓が萎縮していた。この事から両遺伝子がノックアウトされた嚢胞形成機序はADPKD単独とは異なる可能性が示唆された。嚢胞形成機序の一つとされるアポトーシスを解析した結果Sec63lox/lox:ksp-creマウスではカスパーゼ3,9が活性化しており、これによりアポトーシスが盛んなため、腎臓が萎縮していることが明らかになった。さらに嚢胞形成機序を解析する予定であり、治療法の解明につなげていきたい
1: 当初の計画以上に進展している
昨年度は、Sec63コンディショナルノックアウトマウスとPkd1コンディショナルノックアウトマウスを交配させマウスモデルを作成し、その表現型の解析する事が主な計画となっていた。現時点で、マウスモデルは完成しており、嚢胞形成機序の解析が順調に行われている。
今年度は作成したマウスモデルの嚢胞形成機序の解析を進める予定である。具体的には、現在すすめているアポトーシスの経路の解明、細胞増殖についての解析をマウスから腎臓を採取し免疫組織染色、ウエスタンブロッティング法などで解析を行う予定である。また、嚢胞腎の嚢胞形成機序の一つと最近報告のあるPlanar cell Polarity の解析も行っていく予定である。
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