研究概要 |
平成23年度は腎疾患患者の尿中microRNAと腎組織所見、尿所見との関連について検討した。【方法】当院に入院した腎疾患17例(半月体形成性腎炎4例、糖尿病腎症4例、IgA腎症6例、微小変化群3例、平均年齢52歳、男性53%)と健常者2例について、早朝尿中microRNAを抽出後、RT-PCR法にて腎疾患との関連が指摘されているmicroRNA (miR-30c, -133b, -192, -200a, -200b, -200c)の発現を内因性コントロール(miR-92)との比で定量化し、尿蛋白、eGFR、腎組織変化、原疾患との関連を検討した。【結果】尿中microRNAは健常者も含め全例で抽出可能であった。健常人と比較し、腎疾患ではmiR-133bは増加、他のmiRは低下していた。推定GFRとmiR-192は正相関傾向(P=0.073)を、尿蛋白量とmiR-133bは正相関を示した(P=0.0005)。腎生検組織での糸球体内増殖性変化とmiR-30cは逆相関を示した(P=0.0005)。疾患別では、半月体形成性腎炎のmiR-30c発現量が他の腎疾患と比較し低値であった。【結論】尿中miRは定量可能であり、腎障害の程度や原疾患と関連することから、腎臓病の診断、病変評価に使用できる可能性が示唆される。
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