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2012 年度 実施状況報告書

老化が慢性腎臓病の発症・進展に及ぼす影響と機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23591182
研究機関千葉大学

研究代表者

浜野 有記  千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90396680)

研究分担者 小川 真  千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50241956)
キーワード老化 / 18型コラーゲン / エンドスタチン / p53
研究概要

6週齢および20週齢のp53欠損マウスの腎臓に違いはなく、半月体形成性糸球体腎炎(加速型馬杉腎炎)を誘導した際に生じた腎障害は同程度であった。そこで、6-8週齢のp53欠損マウスおよび野生型マウスに半月体形成性糸球体腎炎を誘導することにより、腎疾患における老化関連因子p53の役割を検討した。
腎炎の誘導に伴い野生型マウスの腎臓(糸球体および尿細管・間質)において、p53蛋白の発現増加やp53の活性化を認めた。p53欠損マウスでは腎炎の誘導による腎機能や病理組織学的所見の悪化が、野生型マウスより強くみられた。糸球体内におけるメサンギウム細胞や炎症細胞の増殖・間質における細胞外基質の増加が、p53欠損マウスの腎障害の悪化に関与していた。腎炎誘導時の野生型マウスに内因性p53の阻害薬を投与する実験においてもコントロール群と比較して腎障害の悪化がみられ、p53の腎保護的な役割が明らかとなった。さらに、マウスにリン酸化酵素阻害薬を追加投与する実験を行なった結果、細胞周期G1/S期に関与するサイクリン依存性キナーゼ2(CDK2)の活性化がp53欠損マウスの腎障害の悪化に関与していることが明らかとなった。腎炎を誘導されたp53欠損マウスおよび野生型マウスにおけるアポトーシスの頻度や老化マーカーである老化細胞特異的βガラクトシダーゼの発現に差異はなかった。
以上の結果から、腎障害時においてp53の発現や活性化が、特定の細胞の増殖を抑制することにより、腎恒常性を維持していることが示唆される。

現在までの達成度
現在までの達成度

3: やや遅れている

理由

腎疾患における間質老化の役割を検討するため、18型コラーゲン欠損マウスを用いる予定であるが、平成24年度に実験を行なうための十分な匹数を得ることができなかった。さらに、マウス腎臓からの細胞の抽出・分離・初代培養に成功しなかったため、細胞株を使用することにした。腎固有細胞や線維芽細胞株を用いたin vitroの実験系では、選択的な18型コラーゲンおよびp53遺伝子のノックダウンに成功した。今後、それらの遺伝子操作を行なった細胞株を用いて、細胞機能の解析を行なう予定である。

今後の研究の推進方策

今後は、18型コラーゲン欠損マウスを用いて、老化における18型コラーゲン/エンドスタチンの役割および18型コラーゲン/エンドスタチンの腎臓病の発症・進展における役割を分子生物学的に明らかにする。急性・慢性腎障害への影響を検討するため、さまざまな腎障害を誘導する予定である。しかしながら、十分な匹数の18型コラーゲン欠損マウスを確保できない可能性があるため、慢性腎障害モデルであり老化の関与が強く疑われる糖尿病性腎症モデルの検討を優先する。
さらに、老化に伴う腎障害と密接に関連した糸球体硬化や間質線維化の発症機序を糸球体上皮細胞(ポドサイト)・メサンギウム細胞・線維芽細胞の各細胞株を用いて検討する。特に、それぞれの細胞株に線維化促進因子(TGF-βなど)を添加した際の細胞増殖・アポトーシス・細胞外基質や液性因子の産生能を調べる。さらに、選択的に18型コラーゲンやp53遺伝子をノックダウンした際の細胞機能の変化を観察する。DNAマイクロアレイを用いて網羅的な遺伝子解析を行なうことにより、細胞外基質の産生をもたらす細胞内シグナル伝達経路を明らかにする予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度に予定した18型コラーゲン欠損マウスを用いた実験ができなかったため、979,272円が次年度使用額として生じた。
動物実験・細胞培養・細胞の機能解析のための試薬を購入する予定である。データ解析および論文発表のためにノート型コンピューターを1台、購入する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Physiological Levels of Endostatin Suppress Renal Injury

    • 著者名/発表者名
      浜野有記、宇田川由紀、上田善彦、横須賀收、小川真
    • 学会等名
      ERA-EDTA
    • 発表場所
      パリ、フランス
  • [学会発表] Collagen XVIII and Endostatin Have Differential Roles in Early Stages of Diabetic Nephropathy

    • 著者名/発表者名
      浜野有記、宇田川由紀、浜野理恵、上田善彦、小川真
    • 学会等名
      Kidney Week 2012
    • 発表場所
      サンディエゴ、米国

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公開日: 2014-07-24  

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