研究課題
申請者らは、文部科学省再生医療の実現科プロジェクト-iPS拠点事業において、ヒト腎臓由来iPS細胞には腎臓細胞としての細胞記憶が残されており、これにはDNAメチル化の異なる遺伝子群が関与していることを見いだした。本研究では第一に、腎臓由来iPS細胞の細胞記憶を担うターゲット遺伝子を同定し、ヒトiPS細胞から効率良く腎臓構成細胞を分化誘導する方法の確立を目的とする。一方、Lanzaらはクローン牛を用い、クローン腎臓の構成細胞を埋め込み型デバイスへ播種し、ウシにおける埋め込み型腎臓ユニットの作成に成功している(Nature Biotechnology, 2002)。本研究では、第二に、ヒトiPS細胞から分化誘導された腎臓構成細胞を用い、Lanzaらの報告したデバイスを用いてSCIDマウスに移植し、次世代人工腎臓作成の為の基礎データを得る事を目的とする。具体的な成果は以下のとうり。ヒト腎臓由来iPS細胞を新規に12クローン樹立し、iPSとしての初期化をマイクロアレイ解析により評価した。初期化が確認されたクローンに対して、腎臓系統への分化誘導条件を与え、未分化状態との包括的DNAメチル化の差異をInfiniumにより解析し、腎臓系統への分化において、メチル化が解除される遺伝子、メチル化が維持される遺伝子上位5遺伝子を同定した。24年度以後では、同定した遺伝子をsiRNAおよびレトロウイルスを用いることにより、特異的かつ強制的にONあるいはOFFとすることにより、腎臓由来iPS細胞から効率良く腎臓構成細胞を分化誘導した。次に分化誘導した腎臓構成細胞を既報のデバイスへ播種し、SCIDマウスに移植することにより、次世代人工腎臓として機能するか評価した。
2: おおむね順調に進展している
移植により機能評価に難渋しており、最終年度内に研究を完成させることができなかった。
移植に用いる腎臓構成細胞のqualityを見直すことにより、機能評価を行う。
移植実験が遅れており、その為の研究費が必要な為。人件費および消耗品を予定。
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Am J Physiol Renal Physiol.
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