研究課題
我々はこれまでに、マウスモデルにおける腎臓組織幹細胞移植による腎機能の改善を報告し、ヒト腎における腎臓組織幹細胞の存在について確認した。しかし、ヒト腎臓から得られる組織肝細胞は極めて少量で、臨床応用は不可能である。一方、ヒトiPS細胞の樹立により、患者本人の細胞から大量幹細胞が得られるようになり、iPS細胞から腎臓組織幹細胞を分化誘導できれば、新しい治療法開発が可能である。最近iPS細胞には樹立元の細胞記憶を残していることが報告され、本研究ではヒト腎臓細由来iPS細胞から効率良く腎臓組織幹細胞を分化誘導し、これを移植することにより、全く新しい腎不全に対する細胞移植療法の開発をめざす。成果として、新たなヒト腎臓由来iPS細胞を樹立し、epigenetics制御薬による腎臓組織幹細胞への分化誘導を試みた。腎臓組織幹細胞への分化誘導には、胚葉体形成法およびヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、 DNA脱メチル化剤の組み合わせを用い、最適化の評価は包括的メチル化解析のクラスター解析を指標とした。腎臓組織幹細胞の分離にはFACSを用い、組織幹細胞をSP細胞分画として分離した後、MyoR陽性分画を2段階で分離し、腎臓組織幹細胞を得た。平成25年度では、24年度までで得られたヒト腎臓組織幹細胞を免疫不全マウスを用いた腎不全モデルに移植し、腎不全に対する新しい細胞移植療法としての可能性を検証した。同時に、幹細胞移植一般に問題となる、テラトーマや悪性腫瘍の形成の有無についても検証も行い、iPS細胞からの分化誘導法の安全性の最適化を図った。
3: やや遅れている
分化誘導条件の適正化に時間を要し、やや遅れている。
ヒト腎臓組織幹細胞を免疫不全マウスを用いた腎不全モデルに移植し、腎不全に対する新しい細胞移植療法としての可能性を検証する。同時に、幹細胞移植一般に問題となる、テラトーマや悪性腫瘍の形成の有無についても検証も行い、iPS細胞からの分化誘導法の安全性の最適化を図る。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Am J Physiol Renal Physiol.
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