研究課題
Connexin構成チャネルは、細胞機能及び傷害の調節に重要な役割を果たしている。しかし、その調節メカニズムについて、まだ十分に解明されていない。我々は、虚血性細胞及び腎傷害モデルを用いて、Connexin43 (Cx43)構成チャネルの細胞傷害への影響及び分子機構を検討した。得られた結果は以下の通りである。1、再灌流腎障害モデルにおいて、Cx43野生型(Cx43+/+)1とCx43ヘテロ(Cx43+/-)マウスを比べると、Cx43+/+マウスの方が、酸化ストレス及び腎機能障害の程度が重く、マウスの死亡率も高かった。In vitro細胞傷害モデルにおいて、Cx43構成チャネルを抑えることで、細胞傷害も抑えた。2、ラット培養腎尿細管細胞を用いたin vitro虚血モデルとして培養メディウム中のグルコースを除去することでCx43ヘミチャネルを開くことが、細胞膜内外の小分子量物質の流動を測定する実験で明らかになった。ヘミチャネルを阻害することで、抗酸化作用を有するAMPKを活性化させ、細胞傷害を抑制することを初めて発見した。更に、ヘミチャネルを介したAMPKの調節機構は、チャネルから放出されたATPがプリン受容体に結合し、PLC/AKT/mTORシグナル伝達経路を活性化することも明らかになった。3、プリン受容体阻害剤であるsuraminは、Cx43ヘミチャネルを阻害することを初めて発見した。Suraminがプリン受容体及びヘミチャネルを両方阻害することで、虚血性細胞傷害の治療薬として有望であることが示唆された。以上の結果から、Cx43ヘミチャネル由来のATPがPLC/AKT/mTOR経路を介して、AMPKの活性化を抑制し、虚血性細胞傷害を促進することが明らかになった。
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