研究課題/領域番号 |
23591188
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小杉 智規 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90584681)
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研究分担者 |
丸山 彰一 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10362253)
佐藤 和一 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90508920)
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キーワード | CD147 / ATP産生 / Glucose代謝 / インスリン抵抗性 / Lupus腎炎 / 補体C3活性 / 抗dsDNA抗体 / 免疫複合体 |
研究概要 |
1. Insulin分泌機構におけるCD147の関与 ATP感受性K channelの閉鎖による膜脱分極が誘因となる細胞外インスリン分泌機構解明のため糖尿病モデルにおけるCD147の役割を検証した。自然発症I型糖尿病を呈するカルモジュリン強発現マウスを使用し、インスリン欠損時と存在時におけるCD147発現を膵臓・腎臓・脾臓・肝臓で検討した。腎臓については尿細管障害に伴って尿細管におけるCD147の発現は著明に減少していた。肝臓において、脂肪蓄積に伴ってCD147発現は増加傾向にあった。今後、膵臓β細胞の初代培養を通してインスリン分泌と脂肪肝形成過程におけるインスリン抵抗性におけるCD147の役割を検証する。 2. Lupus腎炎におけるCD147の関与 Lupus腎炎 (LN) マウスを作製・解析の結果、CD147遺伝子欠損マウス(KO)においてLN組織重症度は野生型に比して増悪していた。腎組織は管内増殖性およびメサンギウム増殖性糸球体腎炎を呈し、特にEDD沈着、wire loop等の急性期活動性所見を強く示した。更に、CD147KOの脾臓・腎臓においてInterleukin (IL) 17産生T細胞数は著明に増加し、STAT3のリン酸化への関与が強く推測された。併せて、活性化制御性T細胞においてもCTLA-4やIL10の発現低下を伴う機能低下を示した。これらの結果は当初予測に反していたが、CD147の好中球やマクロファージに対する遊走能促進よりTリンパ球による病勢制御が優位であったと考えられる。本年度は更に、CD147とSTAT3リン酸化に関わるSignal pathwayの解明を行い、LNの病態解明と治療におけるCD147の可能性を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初と異なる結果であったが、Lupus腎炎における解析はほぼ最終段階に到達し、signal pathwayにおけるCD147の関与を検証するのみとなっている。このセクションは当初の予定を上回るペースで進捗している。 Lupus腎炎の実験進行が早かったため、インスリン分泌におけるCD147の関与は若干の解析の遅れはあるものの、検体の採取は既に終了しており、本年度中に解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、膵臓β細胞の初代培養を通してインスリン分泌と脂肪肝形成過程におけるインスリン抵抗性におけるCD147の役割を検証する。 更に、CD147とSTAT3リン酸化に関わるSignal pathwayの解明を行い、LNの病態解明と治療におけるCD147の可能性を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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