研究課題
自己免疫性疾患動物実験モデル・ループス腎炎をプリスタンによって作製し、CD147遺伝子欠損(CD147KO)マウスと野生型マウスの腎炎障害度を検証した。両群共に、抗核抗体は上昇を認め両者に有意な差を認めなかったが、CD147KOにおいて免疫複合体の沈着や係締壁のWire loop lesionなどのループス腎炎に頻繁にみられる所見をPAS染色に認めた。抗DNA抗体や抗dsDNA抗体は有意な差を認めず、B細胞等などによる抗体産生経路に有意な差を認めなかった。ループス腎炎発症6ヶ月後のCD147KOおよび野生型マウスにおいてTh17のpopulationは野生型マウスで有意に抑制されていた。Th1やTregといった他の分画に有意差は認めなかった。マクロファージやTリンパ球といった炎症細胞も組織障害と一致して野生型マウスにて抑制されていた。Th17に関連する各種サイトカイン(IL6・IL17・CCL2・CCL3・CCL5・CCL20)、核内制御因子RORCもまた、CD147KOにて有意な増加を認めており、Th17の分化制御にCD147が関与する可能性が示唆された。実際、野生型におけるCD4陽性CD147陽性Tリンパ球のPopulationはIn vitro研究においても増加が徐々に認められている。細胞実験においてもCD147KO由来Tリンパ球のPopulationはTh17の有意な増加を認めるものの、Th1やTh2, Tregといった他の分画に有意な変化を認めなかった。Th17由来と考えられるサイトカインについてもこの動向に一致した推移をみせた。抗CD3・CD28抗体により活性化させたTリンパ球において野生型マウスではSTAT3のリン酸・活性化は有意にCD147遺伝子欠損マウス由来細胞に比して抑制されていた。
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Clin Exp Nephrol.
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