研究課題
CTGFはTGF-betaにより誘導される増殖因子であり、TGF-betaの細胞外基質産生作用を増強する。本研究はコンディショナルCTGFノックアウトマウスを用いて、糖尿病性腎症モデルならびに抗糸球体基底膜腎炎モデルを作製し解析を行った。(1)ストレプトゾトシン糖尿病性腎症マウスにおけるCTGFの意義の解明 誘導性に全身でCTGFを欠損させるRosaCreERT2 x CTGF floxedマウス(全身性誘導型CTGFノックダウンマウス)に、3週齢の時点でタモキシフェンを投与し、CTGFアレルを切断し、8週齢においてストレプトゾトシンを投与し糖尿病を惹起した。全身性誘導型CTGFノックダウンマウスとコントロールマウスにおいて、体重、血圧、糖代謝は、変化を認めず、尿中アルブミン排泄および腎組織でも差を認めなかった。(2)抗糸球体基底膜腎炎におけるCTGFの意義の解明3週齢のRosaCreERT2 x CTGF floxedマウスにタモキシフェンを投与し、8週齢で抗糸球体基底膜(GBM)腎炎を惹起し、その後4週間観察した。単離糸球体mRNAを用いてCTGFノックダウン効率を検討したところ50%であった。コントロールマウスでは、尿蛋白/尿クレアチニン比が117 mg/mgCrであったが、CTGFノックダウンマウスでは64 mg/mg/Crと有意に減少していた。また半月体の形成も抑制されていた。抗GBM腎炎を惹起したCTGFノックダウンマウスではGBM腎炎コントロールマウスに比して、糸球体TGF-beta1, fibronectinおよびcol1a1が有意に低下していた。
2: おおむね順調に進展している
現在までのところ、おおむね順調に進展している。ストレプトゾトシン糖尿病マウスにおけるCTGFの意義の検討については、おおむね完了した。しかしながら結果はCTGFノックダウンマウスにおいても糖尿病性腎症の軽減は認められなかった。CTGFノックダウンマウスに抗糸球体基底膜腎炎を惹起した検討では、CTGFノックダウンマウスで腎病変が軽度であることを示した。
今後、糸球体上皮細胞特異的CTGFノックアウトマウスを作製し、抗糸球体基底膜腎炎を惹起することで、腎病変が軽減するかどうかを検討する。糖尿病マウスモデルにおいては、db/dbマウスならびにAkitaマウスとCTGFノックダウンマウスを交配し、CTGFの糖尿病性腎症に及ぼす影響について検討する予定としている。またバックグラウンドの影響を排除するために、バッククロスを行っている。
物品費と動物飼育や外注血液・尿検査に関わるその他を使用予定。
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Kidney Int
巻: 81 ページ: 160-169
10.1038/ki.2011.305
Diabetologia
巻: in press ページ: in press
http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~med2/index-jp.html