研究課題
CTGFはTGF-betaにより誘導される増殖因子であり、TGF-betaと共調して細胞外基質産生作用を有する。本研究はコンディショナルCTGFノックアウトマウス(CTGF cKO)を用いて、抗糸球体基底膜腎炎モデルを作製し解析を行った。さらに糸球体上皮細胞特異的CTGFノックアウトマウスを作製し抗GBM腎炎を惹起した。3週齢の全身性にタモキシフェン誘導性CreマウスであるRosaCreERT2とCTGF floxedマウスをかけあわせたマウスにタモキシフェンを投与し、8週齢で抗糸球体基底膜(GBM)腎炎を惹起し、その後4週間観察した。単離糸球体mRNAを用いてCTGFノックダウン効率を検討したところ50%であった。7日後における尿蛋白/尿クレアチニン比がCTGF cKOでは約50%に減少しており、28日後までこの傾向は持続した。28日後の血清Cr濃度、血清BUN濃度に抗GBM腎炎群では差を認めなかった。28日後の腎組織を検討したところ、抗GBM腎炎群コントロールマウス群では、CTGF陽性細胞はポドサイト、メサンギウム細胞に認められたが、CTGF cKOマウスでは陽性細胞数有意に減少していた。CTGF cKOマウスでは半月体形成率の低下、効果糸球体割合の低下、糸球体基底膜肥厚の軽減と糸球体内マクロファージ浸潤数の低下が認められた。抗GBM腎炎を惹起したCTGF cKOマウスはGBM腎炎コントロールマウスに比して、糸球体TGF-beta1, fibronectin, αSMA,およびcol1a1が有意に低下していた。糸球体上皮細胞特異的CTGFノックアウトマウスに抗GBM腎炎を惹起したところ、現在までのところ尿蛋白に関しては軽減が認められておらず、さらに解析を行っている。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に記載した内容について、誘導性CTGFノックアウトマウスを用いた抗GBM腎炎の実験はおおむねの実験は進行している。糸球体上皮細胞特異的CTGFノックアウトマウスに関しても、解析を実施している。
全身性のタモキシフェン誘導性CTGFノックアウトマウスは本年度は28日後での解析が主であり、タンパク尿が多い7日後における変化については十分検討できていなかった。そのため7日後に屠殺を行い、抗GBM腎炎における炎症、線維化の変化について検討を行う。また糸球体上皮細胞特異的CTGFノックアウトマウスにおける抗GBM腎炎の組織学的、mRNA発現を行う予定である。
該当なし
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