研究課題/領域番号 |
23591196
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
中山 昌明 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60217940)
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研究分担者 |
旭 浩一 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (60274966)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 慢性腎臓病 / 認知機能 / カルボニルストレス / メチルグリオキサール / 抗酸化療法 / 水素水 |
研究概要 |
慢性腎臓病と認知障害の関連が臨床的に示されているが、その病態は不明な部分が多く、尿毒素との関連については検討されていない。しかし、透析治療にて認知機能が可逆的に回復することから尿毒素が病態の中心に関与している可能性が示唆される。本研究では、尿毒素の一つであるメチルグリオキサール(MGO)が海馬神経細胞に障害を惹起することが原因の一つに関与している可能性を示すことを目的とする。初年度は基礎的検討の予備試験を行った。SDラットを対象に、8週間に亘りMGO含有水(0.5%、1%、3%)させた。コントロールのMGO非含有水群と比較して、MGO0.5%、1%群では経過中の体重、血圧には明らかな違いは無かったが、3%群では体重の増加が少なかった。8週目の時点で空間認知機能を評価した。その結果、認知機能はコントロール群と較べてMGO群では成績にばらつきが大きく、さらに多動傾向が認められた。これには、MGO投与群では易刺激性となっている可能性が想定された。その後、脳を摘出し海馬組織と同部位の酸化ストレス関連の免疫染色を行った(解析中)。初年度の予備検討では、MGOの投与量として~1%程度が適切であることが判明した。しかし、MGOがラットの行動に影響を与えることは観察されたものの、多動の質的な意味が不明であった。認知機能を正確に捉えるためには、今後は放射迷路試験などを用いて報酬や苦痛回避といった目的行動を評価する必要があるため、このための実験を準備している。これらの検討成果によりMGO行動異常・認知障害モデルを確立できるものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の基礎的研究でモデル確立のための基礎的なデータを収集することができた。しかし、臨床データの収集には着手していないため当初の計画からはやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の基礎的研究でモデル確立のための基礎的なデータを収集することができたので、2年目も基礎検討を優先して最終的なモデル確立を目指す。この中で、5/6腎摘出慢性腎不全ラットでの行動・認知異常を調べ、MGO投与モデルの妥当性も検証する。モデル確立の後、水素水飲用による影響を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
モデルラット作成費用、脳組織の形態、生化学的評価を進める。
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