研究課題
平成25年度は、前年度に得られたPodocine-rtTA;TetO-Nogginにおける尿細管間質障害に関して、founder mouseから確立した別のlineにおける確認実験を行った。2ヶ月令のマウスをDox投与群(n=10)、Dox非投与群(n=8)に分け、3ヶ月後解析した。Dox投与群においては、糸球体上皮細胞にNogginやlac Zの発現を認め、糸球体には形態異常を認めなかったが、近位尿細管におけるTGレクチン染色性の低下、間質の線維化を伴わない浮腫性拡大、さらに近位尿細管におけるリン酸化Smad1/5/8陽性細胞数が低下しており、昨年度得られた結果とほぼ同様であった。以上の結果は、成体における近位尿細管の正常構造の維持はBMP依存性であることを示唆した。そのBMPが糸球体上皮細胞由来か否かは今回の検討からは結論できないが、①近位尿細管にはBMPは発現していないこと②一方、近位尿細管にはBMP7受容体が発現すること③過去の報告から、胎生期におけるpodocyte特異的BMP7ノックアウトでは近位尿細管の形成不全が生ずることが報告されている。以上から、成体においても、podocyte由来BMPの阻害が近位尿細管の障害に関与する可能性が高いと判断された。このことからPodocyte障害は糸球体硬化を惹起するだけでなく、BMP発現の低下を介して近位尿細管障害の原因となりうる可能性が示唆された。
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