研究課題/領域番号 |
23591205
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
市田 公美 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (80183169)
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研究分担者 |
JUTABHA Promsuk 獨協医科大学, 医学部, 助教 (90541748)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 高尿酸血症 / 低尿酸血症 / URAT1 / GLUT9 / URATv1 / ABCG2 |
研究概要 |
血清尿酸値は、遺伝的素因と環境因子の両方の影響を受ける。同じような生活習慣であっても、痛風・高尿酸血症の発症に個人差があるのは遺伝的素因、すなわち遺伝子のSNPによる機能変化が原因であると、我々は考えている。本研究では、高尿酸血症発症における遺伝的素因に着目した。今年度は、尿酸トランスポーターにおける尿酸輸送測定系の確立と候補遺伝子の高尿酸血症症例におけるSNPsの同定を行った。最初の尿酸トランスポーターの同定と各トランスポーターの尿酸輸送測定系の確立に関しては、URAT1及びGLUT9/URATv1の輸送活性の測定系が確立された。他施設にて新たに発見された腎性低尿酸血症症例に関し、URAT1及びGLUT9/URATv1の遺伝子変異を検討した。その結果、認められた変異の変異体を作成し機能解析を行い、原因となる遺伝子変異が明らかになった。現在論文準備中である。また、他の測定系の確立予定であったOAT4、NPT1及びNPT4に関しても、手法が同じであり、ほぼ確立された。高尿酸血症症例におけるSNPs の同定は、ABCG2のSNPsの同定を先行して行った。その結果、Q126Xのアレル頻度は4.1%であり、Q141Kのアレル頻度は45.9%であった。この結果は、Q126X及びQ141Kとも、既知の健常者における両アレル頻度よりも高い値であった。Q126XによりABCG2の機能は約50%に低下し、Q141KによりABCG2の機能は欠損する。したがって、これらQ126X及びQ141Kのアレル頻度が、高尿酸血症症例において高いことは、高尿酸血症の発症にABCG2の機能低下が深く関わっていることを示している。 痛風・高尿酸血症患者と健常者に対し、機能低下を示す尿酸トランスポーターのSNPs を検討し、痛風・高尿酸血症発症における各尿酸トランスポーター異常の関与の程度などの詳細を解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した内容よりは、若干遅れている。しかしながら、まず、先に実験系の構築や症例の集積が必要であることを考慮に入れると、初年度としては、順調に近いと考える。
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今後の研究の推進方策 |
痛風・高尿酸血症の発症に対して、ABCG2の機能低下を来すSNPsの関与が、予想より大きいことが明らかになったため、ABCG2に関しては、さらに痛風・高尿酸血症症例を増やし、詳細な検討が必要である。ABCG2の検討が終了し次第、他の尿酸トランスポーターに関しても、SNPsの検討を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
痛風・高尿酸血症におけるABCG2のSNPsの解析及び血清尿酸値、尿中尿酸排泄量や尿酸クリアランス等の臨床データとの関係を検討する。他の尿酸トランスポーターに関しても、順次着手する。
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