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2012 年度 実施状況報告書

糖尿病性腎症病態形成におけるクロトー遺伝子の抗アポトーシス機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23591208
研究機関川崎医科大学

研究代表者

春名 克祐  川崎医科大学, 医学部, 講師 (40341094)

研究分担者 佐藤 稔  川崎医科大学, 医学部, 講師 (70449891)
柏原 直樹  川崎医科大学, 医学部, 教授 (10233701)
キーワード腎臓学
研究概要

当初の本年度の予定は「高血糖培養下における、Klotho蛋白の近位尿細管上皮細胞の障害抑制作用の検討」であったが、初年度の計画変更に伴い昨年度の先に終了していた。本年度はモデル動物の不具合を修正し1型糖尿病モデルであるAKITAマウスとKlohto過剰発現マウスを交配しモデル作製した。そのモデルを用いて、再度、1,糖尿病性腎症進行に伴う、klotho遺伝子・Klotho蛋白発現量の検証、2,Klotho蛋白過剰発現による糖尿病性腎症進展への影響の検討、を行った。
1,糖尿病性腎症進行に伴う、klotho遺伝子・Klotho蛋白発現量の検証では30週齢のAKITAマウスをSacrificeし腎臓を摘出し、各検討を行う。検討項目は、(a)病理組織学的変化(b)腎組織酸化的障害の検討(c)ミトコンドリア障害の評価(d)アポトーシスの評価ならびにアポトーシス誘導因子としてのカルパイン活性の評価である。
2,Klotho蛋白過剰発現による糖尿病性腎症進展への影響の検討では作製したKlotho過剰発現AKITAマウスにおける、検討を行う。検討項目は1,と同様(a)病理組織学的変化(b)腎組織酸化的障害の検討(c)ミトコンドリア障害の評価(d)アポトーシスの評価ならびにアポトーシス誘導因子としてのカルパイン活性の評価である。
モデル変更により、糖尿病性腎症の病態形質が発現し、Klotho過剰発現によりこれらが改善することを確認している。これを踏まえ、本モデルでの病態解析を遂行する予定である。
平成24年度の実施状況は以上の通りである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本実験開始にあたり、使用モデルの変更を余儀なくされたため、計画の遅れが生じている。現在STZ誘発モデルマウスから自然発症インスリン分泌不全型糖尿病モデルであるAkitaマウスに変更し、計画を遂行している。
まず、AkitaマウスとKotho過剰発現マウスの掛け合わせにより、Wildコントロール (WT)、Akita糖尿病 (Akita)、Klotho蛋白過剰発現Akitta糖尿病 (Akita/Klotho TG) 群の3群を準備した。20週齢でのアルブミン尿、腎組織、アポトーシスの評価、腎カルパイン活性を比較検討した。Akita糖尿病マウスは20週齢でWTに比較し、有意なアルブミン尿が出現した。このことから今回の系では病態モデルとして評価しうると考えられた。またアルブミン尿はAkita/Klotho TG群では有意に抑制された。
糸球体内PAS陽性面積もAkita糖尿病マウスではWTと比較し有意に拡大し、Akita/Klotho TG群ではAkita群に比較し有意に抑制された。
アルブミン尿の改善が認められる一方で、尿細管細胞のアポトーシス陽性細胞の抑制には至っておらず、我々がこれまで他のモデルで確認していた、Klothoの尿細管上皮細胞のミトコンドリア障害の抑制からアポトーシス抑制につながるメカニズムとは別経路の改善作用を考慮する必要が発生した。その為、現在は高血糖に伴う内皮機能障害の改善によるアルブミン尿抑制メカニズムに着眼し、再評価を遂行している。

今後の研究の推進方策

アルブミン尿の改善のメカニズムとして、当初尿細管細胞の保護作用として考えていた現象が糸球体内皮細胞で生じていると考えられた。その為、現在は高血糖に伴う内皮機能障害の改善によるアルブミン尿抑制メカニズムに着眼し、再評価を遂行している。
具体的にはCOS7細胞に分泌型Klotho発現プラスミドを遺伝子導入し、上清に発現したKlotho蛋白を回収した。ヒト糸球体内皮細胞 (hGEnC) を分泌型Klotho蛋白存在下もしくは非存在下で30 mM D-Glucose刺激を行い。細胞のカルパイン活性を測定し、比較検討した。hGEnCの高糖濃度刺激は、カルパイン活性を上昇させた。Klotho蛋白上清添加によりこの活性上昇は抑制された。これらの結果から、当初尿細管上皮細胞でも確認されていた現象は、病態の主座が糸球体内皮細胞であり、尿細管と同様のメカニズムが発症していると考えられた。
これらを踏まえて本モデルの解析を行い、現時点ではvitroレベルでしか確認できていない後天的なKlotho蛋白投与の病態への影響をvivoレベルでも確認する予定である。具体的にはラットにおいてストレプトゾトシン誘発1型糖尿病モデルを用いた検討も施行する。STZ誘導1型糖尿病モデルを作成し、4週後にpCAGGS plasmidに全長klotho cDNAを組み込んだKlotho蛋白発現ベクターをelectroporation法にて筋肉内へ遺伝し導入を行う。。24週後に、アルブミン尿、腎組織、アポトーシスの評価、腎カルパイン活性を比較検討を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

該当無し。

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公開日: 2014-07-24  

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