研究課題/領域番号 |
23591209
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
駒井 則夫 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (40368626)
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研究分担者 |
柏原 直樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10233701)
佐藤 稔 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70449891)
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キーワード | アルブミン尿 / 内皮障害 / 一酸化窒素 / 慢性腎臓病 |
研究概要 |
前年度までに引き続き、CKDの中核病態であるアルブミン尿出現機序を内皮障害に求め、内皮機能の維持にcriticalな分子群の役割を以下の遺伝子改変動物を用いて研究を進めた。①内皮特異的promoterであるtie2制御下でeNOS遺伝子を高発現するtransgenic mouse(tie2-eNOS Tg)、②内皮特異的にGTP-CH1遺伝子を高発現するtie2-GTP-CH Tg、③内皮特異的にNADPH oxidase構成成分gp91phoxのサブタイプであるNOX2を高発現するtie2-NOX2 Tgである。これらの遺伝子改変動物に糖尿病マウスであるAKITAマウスを交配した糖尿病モデルを作成した。 tie2-eNOS Tg に糖尿病マウスであるAKITAマウスを交配し、糖尿病モデルを作成した。通常のAKITAマウスでは8週目以降にアルブミン尿の出現を認めるが、tie2-eNOS Tg-AKITA糖尿病モデルでは4週目よりアルブミン尿の出現を認めた。4週時において、同モデルでは糸球体内皮障害(fenestrae消失)、一部糸球体上皮細胞障害を認めた。本研究から糖尿病では、糸球体内皮細胞がアルブミン尿出現に関与し、同時に内皮障害は上皮障害を惹起する(内皮-上皮クロストーク)事が判明した。GTP-CH1はBH4産生の律速酵素である。tie2-GTP-CH Tgでは腎組織内BH4レベルが亢進していることを確認した。tie2-GTP-CH Tg - AKITAでBH4レベルが維持されeNOS uncouplingの改善効果が認められ、同時に糸球体内皮の形態異常が改善され、アルブミン尿の減少を認めた。AMPKによってGTP-CH1蛋白は分解は抑制的に制御されている。糖尿病では腎組織におけるAMPK活性化が低下しており、それ故にGTP-CH1蛋白が減少し、BH4産生が低下することも判明した。AMPK活性化能を有するmetoforminがBH4産生を回復させ、アルブミン尿抑制作用を有することも明らかにし得た。
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