本研究の目的は、インドキシル硫酸(IS)を含む各種アニオン型尿毒症性物質の中から、腎不全患者の動脈硬化発生に強く関与する物質を明らかにすることである。そのために昨年に引き続き以下の検討を行った。 1)培養平滑筋細胞の増殖作用を指標とした、各種タンパク結合型尿毒症性物質のスクリーニング:昨年度までにISのみならずフランジカルボン酸(CMPF)、p-クレシル硫酸(PCS)にもIS以上に強い増殖作用のあることを確認した。今年度はこれらの増殖時の細胞内機序としてMAPキナーゼなどのリン酸化亢進を伴うことを明らかにした。 2)アニオン輸送体発現尿細管培養細胞によるハイブリッド型人工臓器の作成:昨年度までに細胞をホロファイバーによるハイブリッド型人工臓器上に培養し、腎不全モデル動物における毒素除去効果の検討を開始した。今年度はこのモジュールの安全性を確認するとともに、装着によりISなどが経時的に有意に減少できることを明らかにした。
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