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2011 年度 実施状況報告書

エピジェネティック制御からみた食塩感受性高血圧のメカニズムと診断法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23591213
研究機関東京大学

研究代表者

下澤 達雄  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90231365)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードHDAC2 / 酸化ストレス / microRNA
研究概要

【1.カテコラミンによるHDAC活性の制御の解明】我々はすでにカテコラミンがHDAC8をリン酸化し、その活性を抑制することを報告しているが、今回リン酸化抗体入手可能であったHDAC1~5のリン酸化を検討したが、明らかにリン酸化されるものは認めなかった。【2.酸化ストレスによるヒストンアセチル化メカニズムの解明】mDCT細胞を用いてH2O2、アンジオテンシンIIあるいは糖負荷により酸化ストレスを増大させる系を用いて検討した。酸化ストレスの定量は我々が確立している方法を用いてNADPH oxidase活性、4HNE, 3-Nitrotyrosineを指標に確認した。活性化測定の可能なHDACのうちHDAC2の活性が阻害された。しかしHDAC2のリン酸化には変化が無くチロシン残基のニトロ化が生じていた。HDAC2のチロシンの変異体を作成中である。【3.microRNAによるヒストン調節とmicroRNAの診断応用】腎臓に高発現している既報の73個のmicroRNAから実験2で酸化ストレスと密接に関連するHDAC2並びにp300/CBPをターゲットとしうるものをサーチした。miR144/337、miR335/212/326/669eを候補として現在強制発現させたmDCT細胞を用いてヒストンのアセチル化ならびにmicroRNAとヒストンの直接の関連をRNA免疫沈降(RIP)assayにて確認している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実験1ではリン酸化抗体のうち十分に評価に耐えうるものがそろわず、すべてのHDACについての評価ができなかった。今後腎臓に高発現するHDAC11などリン酸化抗体が手に入らないものについては活性を直接評価する必要がある。実験2では予想に反してリン酸化とは関係のなく活性が阻害されるHDAC2が見いだされ、実験計画の変更が必要となり、期間内に計画を進めることができなかった。実験3においてもHDAC2の重要性が明らかになったため当初候補として挙げたmicroRNAの検討を中止し、候補microRNAを変えたため、RIPアッセイが終了していない。

今後の研究の推進方策

HDAC2のチロシンの変異体を作成し、変異体、野生型を強制発現させた細胞を作製する。この細胞で、WNK4の転写抑制に与える影響をルシフェラーゼレポーターアッセイを用いて確認する。さらに、クロマチン免疫沈降法(ChIPアッセイ)を用いてヒストンのアセチル化とWNK4プロモーター上のnegative GREの関連を確認する。miR144/337、miR335/212/326/669eとヒストンの直接の関連をRNA免疫沈降(RIP)assayにて確認する。またWNK4の転写抑制に与える影響をルシフェラーゼレポーターアッセイにて確認する。さらに、ChIPアッセイを用いてヒストンのアセチル化とWNK4プロモーター上のnegative GREの関連を確認する。さらに、miR144/337、miR335/212/326/669eを対象に、マウス血液、尿を用いてそれぞれ、血漿、尿、白血球細胞、尿細管細胞からmicroRNAをRT-PCRで測定するための条件を設定する。さらにこれらのmicroRNAの発現を正常マウス、カテコラミン投与マウス、我々が作成してきたアドレノメデュリン欠損マウス、酸化LDL受容体過剰発現マウスなどのモデルを用いて検証する。また、ラット、ヒトにおけるmicroRNAのホモログを検索する。

次年度の研究費の使用計画

研究費は細胞培養、マウス飼育のための消耗品購入、microRNA作用の確認のためのRIP assay, ChIP assayの試薬並びに発現定量のためのRTPCR試薬代に充てる

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] NADPH oxidase-mediated Rac1 GTP activity is necessary for non-genomic actions of the mineralocorticoid receptor in the CA1 region of the rat hippocampus.2012

    • 著者名/発表者名
      Kawakami- Mori F, Shimosawa T, Mu S, Wang H, Ogura S, Yatomi Y, Fujita T.
    • 雑誌名

      Am J Physiol Endoc Metab.

      巻: 302 ページ: E425-32,

    • DOI

      10.1152/ajpendo.00227.2011

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 食塩感受性の個人差のメカニズム-その遺伝的背景-2012

    • 著者名/発表者名
      下澤達雄, 穆勝宇, 藤田敏郎
    • 雑誌名

      Medical Practice

      巻: 29 ページ: 510-512

  • [雑誌論文] Epigenetic modulation of the renal β-adrenergic-WNK4 pathway in salt-sensitive hypertension2011

    • 著者名/発表者名
      Mu S, Shimosawa T, Ogura S, Wang H, Uetake Y, Kawakami-Mori F, Marumo T, Yatomi Y, Geller DS, Tanaka H, Fujita T.
    • 雑誌名

      Nature Medicine

      巻: 17 ページ: 573-580

    • DOI

      10.1038/nm.2337

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rac1 GTPase in rodent kidneys is essential for salt-sensitive hypertension via a mineralocorticoid receptor-dependent pathway.2011

    • 著者名/発表者名
      Shibata S, Mu S, Kawarazaki H, Muraoka K, Ishizawa K, Yoshida S, Kawarazaki W, Takeuchi M, Ayusawa N, Miyoshi J, Takai Y, Ishikawa A, Shimosawa T, Ando K, Nagase M, Fujita T.
    • 雑誌名

      J Clin Invest

      巻: 121 ページ: 3233-3243

    • DOI

      10.1172/JCI43124

    • 査読あり
  • [学会発表] 生活習慣病の発症にかかわるヒストンアセチル化2011

    • 著者名/発表者名
      下澤達雄, 穆勝宇, 森典子, 上竹勇三郎, 史安男, 神保りか, レーマンラタパティ, 広浜大五郎, 藤田敏郎
    • 学会等名
      日本内分泌学会(招待講演)
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2011年4月21日
  • [学会発表] 生活習慣病エピジェネティクスからの創薬2011

    • 著者名/発表者名
      下澤達雄, 穆勝宇, 藤田敏郎
    • 学会等名
      日本臨床薬理学会(招待講演)
    • 発表場所
      浜松
    • 年月日
      2011年12月2日
  • [学会発表] 食塩感受性メカニズムと治療戦略2011

    • 著者名/発表者名
      下澤達雄
    • 学会等名
      日本臨床栄養学会(招待講演)
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011年10月29日
  • [学会発表] 食塩感受性高血圧の発生機序:腎β2受容体‐WNK4の役割とEpigenetic調節

    • 著者名/発表者名
      穆勝宇, 下澤達雄, 小倉彩世子, 王紅, 上竹勇三郎, 森典子, 矢冨裕, 藤田敏郎
    • 学会等名
      日本心血管内分泌代謝学会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2011年11月16日
  • [学会発表] Epigenetic Modulation of the Renal b-adrenergic-WNK4Pathway in Salt-sensitive Hypertension.

    • 著者名/発表者名
      Shengyu Mu, Tatsuo Shimosawa, Sayoko Ogura, Hong Wang, Yuzaburo Uetake, Fumiko Mori, Toshiro Fujita.
    • 学会等名
      日本高血圧学会
    • 発表場所
      宇都宮
    • 年月日
      2011年10月20日

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公開日: 2013-07-10  

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