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2011 年度 実施状況報告書

慢性腎臓病における骨折寄与因子の検討-骨組成変化に着目した解析-

研究課題

研究課題/領域番号 23591223
研究機関大分県立看護科学大学

研究代表者

岩崎 香子  大分県立看護科学大学, 看護学部, 助教 (10360059)

研究分担者 風間 順一郎  新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (10345499)
矢野 彰三  島根大学, 医学部, 講師 (80403450)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード骨組成変化 / 骨力学強度 / ラマン分光法 / 腎機能低下
研究概要

慢性腎臓病(CKD: chronic kidney disease)患者の骨折発症ならびに骨折リスクが腎機能健常者に比べて高いことが報告されて久しいが、未だその原因は不明である。骨強度は骨量(骨塩量)と骨質の2要因が規定因子とされるが、CKD患者では骨量の増減に関わりなく易骨折性を有するため、腎機能健常者に比べ骨質因子の寄与が大きいことが推察されている。しかしながら骨質因子についてはほとんど検討されていない。本研究では骨質因子の一つである骨組成について分光学手法(ラマン分光法)により検討し、CKDモデル動物の骨強度に対する影響を検討した。その結果、ミネラル代謝調節ホルモンの影響を除外したCKDモデル動物では骨量の変化が見られないにも関わらず、大腿骨骨幹部の骨力学強度の低下がみられた。この低下は腎機能低下と相関していた。同一部位を用いて骨組成を検討したところミネラルマトリックス比、炭酸・リン酸比の増加および結晶化度の低下がみられた。合わせて骨基質コラーゲンの生理的架橋の増加と非生理的架橋のペントシジンの増加がみられた。骨組成成分のうち、生理的架橋(未熟架橋・成熟架橋)比および結晶化度は骨力学強度にそれぞれ独立して関連性がみられた。これらの結果から腎機能低下により骨組成が変化し、骨力学強度が低下する可能性が示唆された。また、腎機能が廃絶した透析患者で承諾の得られた患者(18名)の骨生検サンプルの一部(パラフィンブロック)を用いてラマン分光法にて解析した。骨形態計測を行い、ROD分類に沿って結果を比較したところ、透析患者の骨組成は高代謝回転型、低代謝回転型、混合型でわずかに組成パラメータに差がある可能性が示された。しかしながら、検体数が少ないこと、腎機能正常者の検体が収集できていないことから、組織型による差の検定ならびにモデル動物で得られた結果との比較等までは行えなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の目標であった骨量減少の見られないCKDモデル動物の骨組成解析は予定通り終了した。骨力学強度試験、骨量解析、骨組成解析、骨形態計測、生化学検査など予定した解析をすべて行った結果、CKDラットでは腎機能低下と並行して骨力学強度が低下していることが確認された。さらに同一部位において骨組成が変化していることを確認し、その関連性を検討したところ、骨組成変化が骨力学強度低下に関与している可能性が示唆された。 ヒト骨生検サンプルについては収集数が十分でなかったが、収集できた検体については骨形態計測、血清生化学、骨組成解析と予定した解析は完了した。

今後の研究の推進方策

次年度の研究計画である高代謝回転型骨および糖尿病を伴ったCKDモデル動物の骨力学強度と骨組成に関する検討を行う。また研究分担者および研究協力者にCKD患者(透析患者)の骨サンプルの収集を継続してもらい、CKD患者の骨サンプルの解析を進める。CKDモデル動物と同様の変化がみられるのか、組織分類別の特徴があるかなどを明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

次年度予算は当初の計画通りに使用する。また本年度の未使用研究費はヒト骨生検サンプルが予定数集まらず、解析ができなかったことにより生じた。そのため本年度の未使用研究費は、次年度のヒト骨生検サンプル解析に関わる費用(解析場所までの旅費、解析機器賃借料等)に使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Changes in chemical composition of cortical bone associated with bone fragility in rat model with chronic kidney disease.2011

    • 著者名/発表者名
      Iwasaki Y, Kazama JJ, Yamato H, Fukagawa M.
    • 雑誌名

      Bone

      巻: 48 ページ: 1260-1267

    • 査読あり
  • [学会発表] 腎不全動物における骨中メーラード反応生成物蓄積と骨弾性率低下との関連2011

    • 著者名/発表者名
      岩崎香子、風間順一郎、大和英之、深川雅史
    • 学会等名
      第31回日本骨形態計測学会
    • 発表場所
      岐阜県岐阜市
    • 年月日
      2011年5月22日
  • [学会発表] Changes of chemical composition affect bone mechanical property in early chronic kidney disease.2011

    • 著者名/発表者名
      Iwasaki Y, Kazama JJ, Yamato H, Fukagawa M.
    • 学会等名
      International Society of Nephrology-7th International Congress on uremic research and toxicity.
    • 発表場所
      Nagoya
    • 年月日
      2011年5月13日
  • [学会発表] 慢性腎臓病に伴う低代謝回転骨の易骨折性には骨組成変化が関与する2011

    • 著者名/発表者名
      岩崎香子、風間順一郎、大和英之、深川雅史
    • 学会等名
      第13回日本骨粗鬆症学会
    • 発表場所
      兵庫県神戸市
    • 年月日
      2011年11月5日

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公開日: 2013-07-10  

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