研究概要 |
前年度の成果:TASK2は、(1)腎近位尿細管(PT)に発現しており、他のセグメントには発現なし。(2)酸塩基調節に関わる分子(CA、NHE3、NBC1)は、PTに発現。(3)TASK2 KOマウスは、標準食飼育で軽い代謝性アシドーシス(MA)を示した。(4)KOマウスは、5週齢以上でWTにくらべ、約15%体重が軽かった。 本年度は、代謝ケージ飼育WT・KOマウスに、0.28 M NH4Cl溶液/0.4 M HClを6日間飲水させてMAを誘導し、血液・尿を調べた(イソフルレン麻酔下で頸動脈採血)。KOの血漿pH、HCO3-は、NH4Cl負荷で追加的低下(酸性化)は見られなかった。(血漿pH: C, WT 7.38±0.01, KO 7.23±0.01 (P < 0.005); +NH4Cl, WT 7.35±0.01, KO 7.20±0.01 (P < 0.005)。血漿HCO3- (mM): C, WT 18.8±0.6, KO 15.4±0.6 (P < 0.05); +NH4Cl, WT 15.6, KO 14.8)。一方、尿中NH3/NH4+排泄量(mg/d)は、WT、KOに有意な差はなく、NH4Cl負荷で増加した(C, WT 0.5, KO, 0.4;+NH4Cl, WT 14.1, KO 12.0)。次に、血漿pH、HCO3-は、経口HCl負荷により低下した(血漿pH: +HCl, WT 7.28±0.01, KO 7.15±0.06 (P < 0.005)。血漿HCO3- (mM): +HCl, WT 13.1, KO 12.7)。NH3/NH4+排泄量はWT、KOに有意差なく、KOは酸負荷によりNH3を産生していた(+HCl, WT 16.9, KO 21.8)。 TASK2 KOマウスは、PTにおけるNH3産生の閾値(感受性)が低下していると考えられる。
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