研究概要 |
本年度は、TASK2 KO, WTマウスに、0.28 M NaHCO3溶液を自由飲水させてアルカリ負荷を行い(6日間)、血液・尿成分の変化を調べた。採血は、イソフルレン麻酔下で頸動脈から行ない、直ちに遠心し血漿成分を測定した。KO群、WT対照群共に、血漿pH、HCO3-は、NaHCO3負荷で増加した(血漿pH: Control, WT 7.38±0.01, KO 7.23±0.01 (P < 0.005); +NaHCO3群, WT 7.43±0.01, KO 7.38±0.04 (P < 0.005). 血漿HCO3- (mM): Control, WT 18.8±0.6, KO 15.4±0.6 (P < 0.05); +NaHCO3群, WT 23.2±1.1, KO 22.4±1.7)。KO群、WT対照群の血漿Na+、K+、Cl-、Pi、Ca2+、クレアチニン濃度に有意な差はなかった。予期された事ではあるが、TASK2 KOマウスへの0.28M NaHCO3飲水負荷は、アシドーシスを改善させた。 また、10ヶ月齢のTASK2 KOマウスの表現型を調べた。KOの体重(g)はWTに比べ有意に小さく(WT 41.9±6.1, KO 30.1±2.4) 、血漿pH, HCO3-も有意に低下したままだった(血漿pH: WT 7.36±0.02, KO 7.29±0.02 (P < 0.005). 血漿HCO3- (mM): WT 19.3±0.9, KO 17.8±0.4 (P < 0.05))。アシドーシスを改善させるための治療をすることなく飼育したTASK2 KOマウスは、18ヶ月齢以上生存し、早期の死亡率は高くなかった。 以上のことから、TASK2 KOマウスはII型尿細管性アシドーシスを示し成長が遅滞したが、アルカリ補充療法の治療なしで長期間生存した。
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