高血圧の発症には遺伝素因と環境因子の双方が重要な役割を担うことが知られている。環境因子の中でも特に塩分が重要な役割を担うことが示されているが、塩分が高血圧の発症とどのように関連するのかについては不明な点が多い。本研究では2つの高血圧モデル動物(Dahl食塩感受性ラット(DS)ならびに高血圧自然発症ラット(SHR)に対して、6週齢から14週齢まで高食塩食を投与すると、高血圧が持続する、すなわち「塩分メモリー」が存在することを明らかとした。また、腎臓の交換移植実験を行った結果、その主座が腎臓に存在することを明らかにし、またその機序を検討した結果、腎臓の細動脈のリモデリングと全身および局所のレニンーアンジオテンシン系の亢進がこの「塩分メモリー」現象に関与している可能性が示唆された。
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