研究課題/領域番号 |
23591228
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長谷川 隆文 東北大学, 大学病院, 助教 (70361079)
|
研究分担者 |
武田 篤 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70261534)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | αシヌクレイン / 細胞間伝播 / プリオン仮説 / 神経細胞 / オリゴデンドログリア / パーキンソン病 / 多系統萎縮症 |
研究概要 |
(1)αシヌクレイン分泌・ライソゾーム移行に影響する後期エンドソーム形成因子VPS4の機能的役割の探索細胞内においてαシヌクレイン(αSYN)は主に細胞質に存在するが、一部はエンドソームコンパートメントや細胞外に存在することが示されている。細胞外におけるαSYNの存在様式については不明な点が多かったが、我々はプリオンやアミロイドβと異なり、細胞外エキソソームはαSYNの主要な存在部位ではないことを確認した。さらに、エキソソーム・後期エンドソーム形成に必要なAAA型ATPaseであるVPS4のdominant-negative変異体の過剰発現により同エンドソーム形成を抑制することでαSYNのライソゾーム移行が減少すると供に、Rab11が関与するリサイクリング経路を介したαSYN細胞外分泌が著増するという結果を得た。以上の研究成果を関連国際誌に報告した(Hasegawa T., et al., PLoS One 2011, 6(21), e29460)。 (2)αSYN細胞内取り込み過程におけるクラスリン依存性エンドサイトーシスの機能的役割の探索αSYNの細胞内吸収経路に関しては、以前からクラスリン依存性エンドサイトーシス機構の関与が推測されている。本研究ではリコンビナントαSYNをSH-SY5Y神経細胞・KG1Cオリゴデンドログリア細胞に曝露する系を用い、同エンドサイトーシス経路の鍵となる分子であるDynamin Iの機能阻害(→K44A dominant-negative変異体発現あるいはsiRNAによる)がαSYN細胞内取込みを強く抑制することを見いだした。さらに、同エンドサイトーシスを阻害する各種薬剤のスクリーニングにより、強力なダイナミン1阻害活性を有することが判っているsertralineにより、細胞内αSYN取り込みが劇的に減少することを突き止めた(現在論文投稿中)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請書に記載したH23年度の研究計画である(1)αSYN分泌・ライソゾーム移行に影響する後期エンドソーム形成因子VPS4の機能的役割の探索、ならびに(2)αS吸収過程におけるクラスリン依存性エンドサイトーシスの機能的役割の探索についてはほぼ計画通りに研究が進んでおり、現在その成果を関連国際誌に論文投稿中である。これらに加え、H24年度以降に予定していた(3)ニューロンーニューロン・ニューロンーグリア共培養系を用いた異常タンパク伝播メカニズム解析、および(4)VPS4ノックダウンショウジョウバエを用いたin vivoでのプリオン仮説検証実験について、すでに連携研究者である国立精神神経医療研究センターの永井義隆博士と共に進めているところである。
|
今後の研究の推進方策 |
前述のニューロンーニューロン・ニューロンーグリア共培養系を用いた異常タンパク伝播メカニズム解析、およびVPS4ノックダウンショウジョウバエを用いたin vivoでのプリオン仮説検証実験を進める。さらに、昨年新たな家族性パーキンソン病原因遺伝子として見いだされたエンドソームートランスゴルジ輸送系(レトロマー)制御因子であるVPS35の神経変性への関与について、細胞生物学的検討ならびにショウジョウバエモデル作成を計画している。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究経費の約80%は組み替えDNA実験用試薬・キット、ウェスタンブロット・免疫染色用抗体、フィルム等、細胞培養用試薬(培地・血清、セレクション用抗生剤など)・ディスポ用品(フラスコ、ディッシュ、ピペット、プレパラート等)の購入に当てられることを想定している。残り20%が国内外学会参加、調査・研究打ち合わせ旅費および論文出版などの投稿・印刷経費に充当される予定である。
|