研究課題
近年、パーキンソン病(PD)などに代表される神経変性疾患において、凝集性タンパクが細胞外環境へと放出され、隣接する細胞へと伝播する現象(いわゆる『プリオン仮説』)が、剖検脳、培養細胞および動物モデルにおいて確認され注目を集めている。病原性タンパク伝播により病理変化が周辺組織へ拡大するというプリオン仮説は、異常タンパク凝集を特徴とする神経変性疾患に共通した病態機序として関心を集めている一方、そのメカニズムについては今だ未知の点が多いのが現状医である。そこで、本研究ではPD脳神経細胞に蓄積するα-シヌクレイン(αSYN)に着目し、同分子の細胞外分泌・細胞内吸収に関与する小胞輸送関連分子の探索を行った。αSYNの細胞外分泌に関しては、プリオンタンパク同様エキソソームを介した経路の関与を指摘する報告があるが、我々は患者髄液・神経細胞培地上清由来のエキソソーム中にはαSYNは殆ど存在せず、大部分の細胞外αSYNはエキソソーム外にfreeな形で存在することを見出した。さらに、培養細胞モデルを用いRab11を介するリサイクリングエンドソーム経路が、αSYNの細胞外分泌に主に関与することを証明した(Hasegawa T, et al., PLoS One 2011)。一方、αSYN細胞内取り込みプロセスに関しては、ダイナミン依存性エンドサイトーシスが重要な役割を担っていることを明らかとし、同過程はダイナミンGTPase阻害活性をもつ抗うつ薬であるセルトラリンにより抑制可能であることを証明した(Konno M, Hasegawa T., et al., Mol Neurodegener 2012)。
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