研究課題
本研究課題は、家族性パーキンソン病の原因遺伝子のひとつで、孤発性でも発症に深く関与していると考えられているα-シヌクレインを対象としている。α-シヌクレインをウイルスを用いてラットのドパミン神経細胞に発現させると、パーキンソン病とよく似た神経変性が観察される。本研究では、一度過剰発現させたα-シヌクレインの発現を抑制することで、神経変性過程がどのように変化するかを検索することを目標としている。その発現抑制の方法として、当初shRNAやmicroRNAの使用を想定していた。しかし、この方法では、ラットに最低2回ウイルスを接種しなくてはならず、その自体による機械的な脳へのダメージが懸念される。そこで、一回の接種で発現がコントロールできるtet-offシステムを用いる方向に変更した。このシステムの成功の鍵は、外来からの薬剤投与で、目的遺伝子の発現が抑制できるベクターの構築にあり、現在、ベクターの作製を行っている。同じ用途で報告されたベクターの例は少ないことから、いくつかの遺伝子発現調節に関わる遺伝子の配列を変えたものを作製している。 また、平成23年度は、ウイルスを用いたラットモデルにおけるα-シヌクレインの毒性に関する新規知見を論文および国際学会で発表した。
3: やや遅れている
新たなベクターの構築に加え、標的遺伝子を挿入方向などを変えた何種類かのベクターの作製に時間を要するため。
今後、ベクターの発現抑制効率を培養細胞で確認する。その結果をもとに、ウイルス作製およびラットへの接種実験に進む予定である。
ウイルスの濃縮、精製などの作製に研究費を使用する予定である。また、接種するためのラットの購入、飼育にも使用する予定である。
すべて 2011 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Journal of Neuroscience
巻: 31 ページ: 16884-16894
http://minfo.id.yamagata-u.ac.jp/naika3/index.html