研究概要 |
拡張型心筋症を伴う常染色体優性遺伝性ネマリンミオパチーの一家系について解析を行った。発症者2名、非発症者2名、発端者の非発症の親ついて当科で開発したSNP HiTLink(Fukuda et al., BMC Bioinformatics. 2009)を用いて連鎖解析を行い、候補領域を定めた。ロッドスコア0.6まで上昇を示している候補領域は約800kbで全ゲノムの約1/4であった。 発端者についてexon enrichmentを行い、次世代シークエンサーを用いて paired endでexome解析を行った。大規模並列処理塩基配列解析で得られたシークエンシングのリード配列をBWA alignment with default setting にてリファレンス配列(hg19)にマッピングを行った。トータルのリード配列は79,617,248 reads (39,808,624 paired)であった。このうち79,127,507 reads (99.38%)がリファレンス配列にマップされ、ペアでは76,815,970 reads (96.48%)がマップされている。リファレンス配列と異なる168,530個の一塩基置換変異(Single nucleotide variation: SNV)を検出した。このうち 遺伝子上では7,849個のSNVを認め、連鎖解析から得られた候補領域内では1,653個のSNVを認めた。既知のデータベース(dbSNP)にない新規SNVは220個であった。新規SNVのうちexon領域のSNVは77個で、このうちcoverage 3x以上でアミノ酸置換を伴うSNVは42個であった。現在、42個のSNVについて家系内変異解析、正常対照者でのスクリーニングを行い病的変異の可能性のある変異の絞り込みを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
家系内の連鎖解析により候補領域は約800kbであることを確認している。発端者におけるexome解析は終了している。トータル79,617,248 readsのリード配列を高いマップ率で得られた。 変異の検出および絞り込みについては、168,530個の一塩基置換変異(Single nucleotide variation: SNV)を検出をした。連鎖解析から得られた候補領域、既知のデータベースにないアミノ酸置換配列についてふるい分けを行い、現在42個の新規SNVについて絞り込みを行っている。
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